2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「快楽の源」  言葉の展覧会193

最初から ずうっと 存在しているかのように ゆったりとまわっている 蒼い星球 の横に 曲がりくねった二つの光線が 交差しながら垂れている その向こうに得体の知れない 巨大な何かが潜んでいる じつは最近できた何か もう少し経つとまた変わるだろう 誰かが…

「錬金術」  言葉の展覧会192

むかしむかし この国では談合とか献金とかいうもんがあったそうな そりゃ 錬金術のような話で 権力を持ち トップに立てば 談合やパーティによって がばがばとカネが懐に入ってきたという こんな甘い話を少年の頃から聞いてうらやましがっていたわしは 自分も…

「消えた年金」  言葉の展覧会191

いつのまにか 消えてしまっていた あるはずのものがない みんなが出してあつめたものが 役立たせるはずのものが そのいちぶが 何かにすり替えられ いつのまにか 消えてしまっていた 下には下をつくり 足を引っ張り合わせ 上はしたい放題儲けたい放題の しく…

言葉の展覧会190

ひょんと てのひらにのった山 じつにかわいくて ぼくはいつまでもいつまでも こいびとのようにみつめていた そのうえをここちよさそうに雲が ふーんわり およいでいる 晩春のちいさなちいさな幻想は ここちよく ぼくのこころをそっとふきぬける さわやかな朝…

「少子化社会日本」  言葉の展覧会189

どうして減っていくのだろう なぜ減っていくのかしら 04より この列島の人の数が したくないのではない もちたくないのではない できない なかなかふみきれず まだひとりのほうが おそくても もてない もつことのためらい もってもくらしていけるのか ふあ…

「マス」   言葉の展覧会188

誰もが持っている 脳内の腐りかけた皮質 上へ行けば行くほど 腐食がより複雑で激しくなる いつものように刺激的に あの画面で話された言葉は 汚濁した神経系統によって 一方通行で僅かしか伝わらず 今にも剥がれそうな皮をひらひらと揺らすのみ ところで四六…

「崩壊過程」  言葉の展覧会187

くそっ なんとか自分を立て直そうと 死にものぐるいで試みる だが そうはとんやがおろさない ・・・・・・ ーーーーー なんてこった あちこちにひび割れが・・ これじゃ崩壊するのみじゃないか ああ 歯止めがきかない ・・・・・・ それにしても美しい描写だ…

「ブレない」 言葉の展覧会186

あのひとはどんなことがあっても ブレない いろんなことが押し寄せてきても ブレない どんなに速度が速くても ブレない 上や周りの圧力が強くなっても ブレない なんてカッコイイひとなんだ 優柔不断のぼくはせめて心の奥の信念として 持ち続けたい 自身に語…

「門」  言葉の展覧会185 

ひとつの門がある 扉はあるけれど 開けることができない 開けることを求めてもいない ただそこに門がある 門というものがある おごそかな門がある 門の中に入りたいわけではない 中の家がどんなものかを 知りたいわけでもない 門はそこにあるにはあるけれど …

「白磁」  言葉の展覧会184

しろくて 清楚で 優雅で ほんのりと やわらか 肩の繊細な表情 胴は丸みをおびて さわり心地がいい ちいさな穴が穿たれ そのなかは 生のみなもと なつかしい宇宙 見えるか見えないかの線たちの交わり すこしばかり 内部の空間に広がる 銀河の旅に誘われる *

「きみとぼくと」  言葉の展覧会183

ぼくときみ 対峙するのでなく その懐に抱かれ 一体化する きみとともに 目指すのは時間を超えた場所 過去と現在 未来の記憶をさぐる きみとぼく 古典と前衛 和と洋 ハレとケ 陰と陽 相克するものとの出合い そして融和 きみとぼくと *

「未来」  言葉の展覧会182

仕事に追われている毎日のなかで、ふっと自分の時間をもったとき、未来はどうなるのだろう、と思うときがある。格差の拡大、少子高齢化、福祉の減少、弱肉強食、戦争できる国等、お先は暗い。未来を予測しても、環境問題や人口問題、テロや戦争の不安等が浮…

「心の奥にひそむもの」  言葉の展覧会181

たんたんと 淡々と した日常の会話のなかに 通勤カバンのなかに 電車の座席に 家族の食卓に ひそかに入り込んで 少しずつ増殖していく 嘘と建て前の 奥に隠されている 暗黒で 憎悪すべき 不気味なもの 肉食動物の本能といったらいいのか 隠蔽されている脳幹…

「都合のいい拙速な改革」  言葉の展覧会180

と、と、とても、た、たいせつ、なのに も、問題が、か、かいけつされない、まま ひ、ひ、ひとり、よ、がりに、ご、ごりご、りで は、はなし、あい、も、ふ、ふじゅうぶんな、ま、ま な、な、なにが、なんでも、せ、拙速に、お、お、推し、す、進める ま、ま…

「文字の裏 」  言葉の展覧会179

ただの点 ただの線 折れて曲がって交わってくっついて 文字になり 音をもつ やがて捉えどころない出来事や思想が 形を備える そして積み上がって 歴史をつくる ところが文字にならないもの ならなかったものは どうだろう 文字にならないものに 思いを馳せる…

「時間Ⅰ」  言葉の展覧会178

中心で 白く伸びる か細い棒 その先に広がる 目に見えない銀河 かすかに揺れている 棒の先っちょ 今ここにある時間 永遠の時間の中の今 光をひっそりあつめて

「母の首切り」  言葉の展覧会177

殺 殺す 死 という言葉が子どもの内に 浸透していったのはいつごろからだろうか ごく最近のことだが 用意されていたのはもっと遡る 日常の ノートの切れ端に 屋上壁の落書きに 図工の時間の絵に 地面に棒で 「殺」とか「死」とか「殺す」とか 少し大きくなっ…

  言葉の展覧会176

じつに あっけなく通ってしまったな 道筋もこれで作られたわけや 作業もはかどるやろな なんでこんなに急ぐねんやろ そりゃ一刻でもはやくやりたいんやろが せやけど こんなことになったんは なんでや? う〜ん もう忘れてしもた人が増えたからやろな それに…

「衣」  言葉の展覧会175

藍と白の縦縞の せめぎ合いと交わり この対立と親交が幾何学的に抽象化され どこまでも反復される 模様の中に 深くて豊かな歴史が細密に刻まれている ちりばめられた太陽 さんさんと 光を放って その下で藍と暮らす人たち 甕を守り 娘と母が糸を染め 布を織…

「憎めないおじさんだけれど」  言葉の展覧会174

あのおじさんは憎めない けれど恐いところがある 理屈より感情に走り その時々のムードによって 気まぐれにものを言う それを聞くみんなは たじろぎ右往左往 誰かが苦しんだり訴えたり血を流したりしても 持ち前の強気でもって納得させる 権力を握っているだ…

「部屋に眠る物たち」   言葉の展覧会173

本棚の奥に隠れて もう30年も聴いていない あの時のレコード 本棚の間の奥深くに入って 錆び付いた押しピンのあるポスター 押し入れの隅っこの箱の中の 黄土色の雑誌の切り取り写真 今はもう跡形もないあの喫茶店のマッチ 錆びてしまった万年筆 貝殻 部屋…

「喪失」 言葉の展覧会172

すでにどこかで失われてしまっている あるのは美しい 純粋な 残像 崩壊 敗退 破局 ああ、美学やモラルが走っている カタストロフィはなかなか爽快だ しかし なんとか 自らを立て直そうと 必死に努めようとしている あらかじめ失われてしまった恋人たち おた…

「牧歌的」  言葉の展覧会171

雨上がりの5月 葉っぱの上の梅雨玉が あちこちで光ってゆれる それぞれの土地に 人が行き交う 出会い 交わり 別れ その一瞬の光景が 鮮やかに光る 猫が木株の上で寝ころんで 大きな欠伸をする それぞれの土地の 木陰や広場で 人は語る 食って寝て 真っ白な…

「フリーターの訴え」  言葉の展覧会170

失われた10年に 経済からふるい落とされ 人生そのものを奪われた オレは30過ぎのフリーター 毎日はたらくのに疲れ果て 生活のために稼ぐなけなしのお金は 酒やテレビの一時的な娯楽に ああ つらいなぁ 低賃金の 貧困労働層 少数派の 働く機械 非正規のオ…

「恋の最中」  言葉の展覧会169

そよっと 5月の風が吹いて あまい薫りを連れてくる アムールプレートの東の縁 きみは薫風に髪をなびかせ 少しずつ東へ動き ぼくを迷わせる オホーツクプレートにぶつかって きみは微笑む 東縁変動帯に ぼくの顔は赤らみ 圧縮力が生じる きみはそっと手を出…

「Mの視線」  言葉の展覧会168

自分の身体をどこか別の場所に ひっそり隠して おもいどおりにふるまう この一貫性 この禁欲的なまでのゆれの無さはなんだ 普遍性に到達しようとしているじゃないか 揺るぎない視点 世界への切り込みが鋭い 宇宙の果てにいても近くにいるようで 到達点があり…

「子ども2007」  言葉の展覧会167

子どもが消える ますます薄くなって 透明に うれしいこと 特にない 忘れた ・・・ 子どもが見えない 学校まかせで かかわらない かかわりたくない でもひとつの価値観の押しつけだけはする 塾やお稽古まかせで かかわらない かかわりたくない そんなわけで …

「出すあてのない手紙」  言葉の展覧会166

いつかだれかとみたような ちょっぴりさびしくて ほのあかるい光景 だれもいなくなってしまった部屋で 眠れなかった私は 頭をあげてぼんやりとながめる 窓に映る 夜明けの 一枚の絵 ベッドでしたためる 出すあてのない 手紙 かつてあったような おろかでなん…

「70年前」  言葉の展覧会165

いったいぜんたい何を考えているんだ 何も考えていないんだよ 動物化だって その日の快楽なんだよ 自分だけの楽しさや幸せを求めてさえいれば その日を食いつないでおもしろおかしく・・・ 70年前 なぜ止められなかったのだろう なぜ多くの人が反対を言え…

「インターネットでも」  言葉の展覧会164

もうすでになくなった とおもわれていた 懐かしい何かが 復活している 形を変えて ネット でも でも かたや 誹謗中傷 露骨な攻撃 差別にいじめ 声高な鬼畜中朝 大政翼賛国賊暴力 ヒトの心はまったく進化しないが いいものは形を変えて連綿と 嵐や荒波の真っ…