『みそしる』 No.3705

睡眠から逃れて
ぼくは遠い果ての旅に出た
果てしない青空に
ポカンと 鍋
が浮いている
道連れだ と言うと
ポカリポカリ 流れ出し
流れに流れて

 

秋が落ちている
ぼくはそれを踏んで
台所という駅に辿り着き 青空の鍋で
みそしるをつくる
朝はまだ来ない

 

みそしるはクツクツクツと音を立てている
最後にコマツナを入れなければ

 

旅はいつまでも続く
じつにいろんなことがあったもんだ
ひとは誠実にならなければ
ならない

 

秋がむっくり起き上がって
ヤア と言う
ぼくも反射的にあいさつをする
ヤア
秋はそのまま旅に加わる
まだ青い柿をかじりながら軽い約束を交わして
さあ、再び出かけよう
あのきらめく旅に ネギは笑う
ぼくは誠実ではない

 

青空に大きな穴が開き
もうもうと
吸い寄せる湯気と台所とぼくと

 

みそしるができた

 

 

        ***********

 

アウトプット』 No.3704

 

たまりにたまっていた
ものが
あるひ あるとき
あるひとによって
プチュー!!
とプッシュされた

 

出るわ出るわ
ワーー すごい
インプットばかりのあのときは
いったいなんだったんだ!


才能はかくして
発見される