2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『どんぞこ』 言葉の展覧会907

しあわせって ふこうのどんぞことつうじあっている どんぞこにはいったひとは つらくてもくるしくても もがきながらぐっとそこではをくいしばり なんとかぬけだそうとする あるいはぬけだせたひをむそうし なにくそとまっている そのぬけだそうとまっている…

『ぶきっちょ』 言葉の展覧会906

うたはへた はなしはたじたじ なにをやってもへまばかりの きみはぶきっちょ みんなはきみをばかにし こころのそこでわらっている でもいいんだよ それだけで それこそが それこそがいのちなんだ きみはばかにされているけど ほんとにわかってくれるひとはと…

『今は引きこもり』 言葉の展覧会905

今は引きこもりの時期 お外には出ないで おうちに籠もって充電する これまで空っぽになっていた容れ物 余分な物やいらない物が入っていた容れ物 それを総入れ替えして これから必要な物を詰めていく もう半年が経つ でもちょっと顔を出して お外を伺う いま…

『おくに事情ー外交』言葉の展覧会904

まぁ、このへんで穏便に線引きでも あちらもたいへんなんですから なにしろいろんな人を抱え込んでいまっさかい ほれに、りょうどに関しては百年のトラウマを持っとるんやで ほんであちらはん、たいへん緊張して 一つの間違いもなくおさめなければなりまへん…

『前へ前への陥穽』 言葉の展覧会903

前へ前へ 誰も彼もこの僕も 必ず前に進むものと確信している 時間は直線的に進む! と くにというもののローカルな歴史は 直線上に戦争があった つまり「戦争の連続性」 戦争を戦えるくにに 普通のくにになれ なめられるなもっと毅然と 潔く 勇ましく 誰もが…

『Jの贈り物』 言葉の展覧会902

もどかしく悩ましげで ときどき含羞があらわれる切れ長の 茶色く繊細な目の奥に 秘め事を持ったような宝物が隠されている いつも控えめではあるが どことなく気品を漂わせている 美人ではないがつやつやした長髪と 躰から醸し出す優雅さは私を魅了する あつ…

『特捜部』 言葉の展覧会901

鋭い目つきで歩き 不正を憎み 正義感に燃えていた 若いM検事 割り屋で功を奏し 特捜部というエリート組織に入った 中堅のM検事 栄光に胡座をかき権力を振りかざせる組織が 部分となったMにとってはたまらない 仕事は考えるよりもこなす方に移行 自信過剰…

『十五夜』 言葉の展覧会900

おゝ、月よ月 雲の間に間に 見え隠れする 清らかな月よ じりじりと そんなにじらしちゃ いや よけいに恋い焦がれる いじらしい月 山あいの田舎家の庭で じらされながらひとり 微かに揺れるコスモスの影の上の月を見る 今夜は少しひんやり 秋が躙り寄ってきた…

『やまどり』 言葉の展覧会899

三田の ふか〜い山奥の 山の緑につつまれ ぽつんとある 田舎家の囲炉裏のそば処 奥さんと仲睦ましく営む蕎麦打ち名人は猟師さん 笑顔に惚れたのか 丹精込めてつくる十割の手打ちそばと 猪や鹿や雉、その他に鶏や牛の料理が食べられる 山の恵み、つまり山で獲…

言葉の展覧会898

囲炉裏を囲み 竹竿に掛かったタマネギの向こうの 煙の上がる山里をながめながら のんびり ゆったり 時間とあそぶ いにしえの 狩りの 妙になつかしい ふるさと * ※そば処「山獲」(やまどり)にて

『ひとり』 言葉の展覧会897

うすむらさきの地平線 どこか違った場所で ボクは夢を見ている 四角のひとつの辺から少しずつ 線がはみだしてワシとなる へんだなあ ワシはひとり 仲間なんていない 大人のワシはやがて子どもになる はな垂れ小僧になったかとおもえば かしこい子に早変わり …

『ケータイ孤独』 言葉の展覧会896

これだけたくさん送っているのに これだけなんども伝えているのに 伝わらない もどかしさ 多ければ多いほど消耗し 不信が募り友は遠のく 情報は情報でしかなく 友だちほしい地獄のなかで 底なしの時間の浪費と 一日に大量の淋しさだけが残る つまり求めれば…

『緑のドイツ』 言葉の展覧会895

鳥がさえずり あおあおと繁った木々の間の 湖にゆったり浮かぶ白いボート ポツダムの トルーマンハウス前の ヒロシマ広場は美しい 黙殺の7.26 8.15は9.18に戻る かすかに揺れる真っ白なボートには 未来だけが横たわり ゆっくりと前へ進む ●

『宙に浮く朽ち木』 言葉の展覧会894

野ざらしははやい わずか数年で朽ちる 少し触ればぽろりぽろと落ちる 都会の喧噪は孤独を生む 彷徨って引き寄せられた 静謐な記憶のサークル ぼろぼろな朽ち木の向こうに 時空を越えてゆらゆらと 悲しさがゆれている ・ ※高槻市のギャラリー『マーヤ』に出か…

『つゆくさ』 言葉の展覧会893

夏の雨をもらって 涼しげに濡れている 淡い瑠璃 濃い藍 尊厳をもって みんなで寄り添い合っている ひとときの幸せ 懐かしい 月草の記憶 きみの真っ白なシャツに つゆくさの色が着いて 月にひかっている 淋しさに濡れて ●

『恐怖』 言葉の展覧会892

たいした根拠もないのに 感じている 恐怖 何の理由もないのに 欺される あおりあおられ ころっと いとも簡単に 瞞される ○○菌が怖い○ウィルスが怖い○インフルエンザが怖い 無差別○が怖い○テロリストが怖い北○○が怖い・・・・・ このまま行くと人類が滅びるぞ…

『羊をめぐる問いかけ』 言葉の展覧会891

いまよく現れているのは どうでもいいような記憶 やはり生き残るのはこんなものなのか 砂浜に残るのは砂ばかり とはいえ 羊をめぐる問いかけは 同一性のもとに羊の再発見 またまたくだらない現実 この羊学的な眠りは 「羊」を消し去るしかないだろう 砂に描…

『ぺらぺら』 言葉の展覧会890

ここでは 人間がスライスされていって ぺらぺらのかみになる えがかれている 丸くなった白い骨線の細い皮赤い血管の細やかな点輪になった臓器 化粧で覆った外見もかけがえのない自己意識も私だけの物語も 薄っぺらぺら 感情は動くが どこにでもあるようなあ…

『けんちく』 言葉の展覧会889

湖の見えるなだらかな緑の丘に ゆ〜んと伸びて白く欠伸をしながら寝転んでいる ゆるやかな屋根のあちこちに穿たれたサークルに 流れる雲を入れている 真ん中が少しあがって風や蜻蛉や人が憩い 通り交う 閉ざされてはいるがすべてが開かれたやさしい空間 やが…