2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「砂粒は」言葉の展覧会223

いつの頃からかあらわれた小さな波が いつしか大きく大きくなり いつの頃からかあらわれた小さな砂粒が いつしかあちこちに散在し いつの頃からかあらわれた小さな流れが いつしか巨大な流れになりました いまでは大きな波が小さな砂粒を呑み込んで 巨大な流…

「モラトリアム人間」言葉の展覧会222

えっ わたしが! 大切だって言われても わたし、関心ありません えっ 自らの責任で決めてほしいって?! う〜ん わたしわかりません そんなこと言われても 億劫なんです わたし、・・・そんな難しいこと 考えたくないんです それよりもわたし、 もっと自分の…

「想像力2」言葉の展覧会221

辺土は辺土のままに 横道をそれると けったいな光景があった どこかで見たような あっちこっちからとってつけた つぎはぎだらけのような 異様に厳粛な それでいてバカバカしい それは実に吸引力が強くて そこに忠誠を強いられるような厳めしさ そこをぐしゃ…

「想像力1」言葉の展覧会220

辺土を旅していると 岐路があり 左の方向へ行くと そこにまた辺土があった それはどこまでも外にあるようで かぎりなく中心に位置している かとおもえばそれはまったく中心からずれて どこでもいいような どうでもいいような どこにでもあるような 小市民的…

「結ぶ」言葉の展覧会219

異質なものと 異質なものが 結ばれる 別の生命体が 細胞内で共生することによって 酸素から運動エネルギーを得ることができた ミトコンドリアのように もう後戻りはできない 天から垂れ下がってきた 蜘蛛の糸が いまじゃあちこちに 巣を張り巡らせつながって…

「無題」 言葉の展覧会218

燃え尽きた情念が 静かに漂っている 月の光は 打ち拉がれた人を照らす 個が溶解する窓辺 ひょいと悲しみが頭を擡げるが 果てしない時間の中で ぷるんと揺れて 消え失せる 薄っぺらな道の表面で 言葉がモノになっている *

「歴史の削除」 言葉の展覧会217

荒れ地に親戚が身を寄せ合っている 怯えた女と子どもたち 少女の身体は凍り 少年は恐怖に震えている 母は絶望の目 おばあは死の覚悟 遠近から聞こえてくる銃声や爆弾の凄まじい音 そこに混じる断末魔の悲鳴 殺される 死ぬのだ 捕まって捕虜になるのは最大の…

言葉の展覧会216

夏が子どもの風景画のようにやってきた 屋根に太陽が近づき 電信柱が真っ青な空に溶け込んでいく 洗濯物の白いシャツは空を泳ぐ 光の波が木々に押し寄せて 葉は光の粒を吸い込んできらきら光る 草たちは太陽に向かおうとひっしになっている やはり世界は暑苦…

「ヤリキレンナ」言葉の展覧会215

アレハ アレ コレハ コレ サァ ト トボケテ 「ヤリキレンナ」トイウヒトガ スワッテイル アッチノイスニモ コッチノイスニモ コッケイニモ ドコニデモイルヨウナ ゾロゾロバラバラ ハテサテ ドウシタモノダロウ ドウシヨウモナイ イツマデモ 「ヤリキレンナ…

「虫の視点」言葉の展覧会214

あるべき姿が見えない ありように自信がもてなくなっている それは美しい言葉に欺され 恐ろしい方向へ引っ張りこまれ 大切なものがくずされようとしているから このままいけば やがて巻き込まれ 無意味な死を遂げさせられるだろう 虫 ないよりましや 自由に…

「世界の食事情」言葉の展覧会213

もう飽きちゃった あまり美味しくないので食べられないわ 彼方此方の皿に残されたご馳走 あぁ、お腹が減った なんでもいいからほしい 何か食べたいー 彼方此方に飢えて彷徨う人々 8億人 そして餓死者 飽食 と 飢餓 の あいだ この間を埋めるのは何だろう こ…

「ほどほどに」 言葉の展覧会212

頼りになって 対人関係を重視し 争いごとを好まず みんなから信頼され 模範生と誉められる 自分の考えや望んでいることを 無理に抑え 気ばかり使って 神経をすり減らす 嫌なことを頼まれても 断れない 自分は他者から悪く思われていないか 嫌われていないか…

「みらい」言葉の展覧会211

じょじょにじょじょに あいまいになり とらえがたく じぶんのいしでは もうどうにも うごかくなりつつある げんじつ かこもあいまいで みらいもみえない もうそんならっかんてきなものは どこをさがしてもない かこへのせきにんはきえうせ あんなばかものが…

「“萌え”国防論」言葉の展覧会210

かわいい ただかわいい 中身はなくても 現実とかけ離れていようと かわいい ただかわいいだけでいいの かわいいアイドル少女 ビジュアル系バンド少年 マンガ・アニメのキャラクター 共同のイコン 強烈な幻想の力 萌え 武器はいらない「かわいい」外交 “萌え”…

「人気」 言葉の展覧会209

はかないもの 人のいのちと人気 * ほら、毎日のように画面に出ていた あの人やけど、今はどうなってるんやろね * いまは耀きときめいて TVにこのときはとばかりに 顔をさらしているけど いったい何日持つんかな * 流行を求めるひとは流行に流される つ…

「魔法の息」言葉の展覧会208

なんでもない言葉に ふっと 魔法の息を吹きかけると 言葉はうるおい かがやき いやされ ゆうきづけられ なぞにみちた おもしろい詩になる 本質的には魔法の息はだましである 言葉によって人をだまして あたたかいこころをもたせ 世界や生を気付かせる しかし…

「絶滅」 言葉の展覧会207

絶滅を免れて かれを想うかのじょ かのじょの中に入るかれ 絶滅を免れて 星の王子様でも読んで 絶滅を免れて 未だに これだけ滑稽で 馬鹿で 悪賢くて 獰猛な動物って他にいないのじゃないか 絶滅を免れて 羽毛が生じ歯が滅びくちばしのある・・・ きっぱり不…

「こっちもあっち」 言葉の展覧会206

あっちからこっちにうつったが なかなかむずかしい いやなことやおそろしいことがいっぱいあるし ほとほとつかれている いまだじつげんできていないものがおおい それにこっちでは独善が暴走している かつてあっちだったものがなつかしい むかしはよかったと…

「コップの中の尊厳」言葉の展覧会205

光が向こうの狭い入り口から入ってくる 今ここにの空間 照らされたテーブル上の 薄汚れた透明なコップ その中の数多のモノら 順応し みんなでいけば絶対に・・・ まだへこたれないぞ なにがあっても どんなことがあってもへこたれない そうだろうみんな ただ…

言葉の展覧会204

どうして首をすげかえろと言うのだろう もっと有能な者でもいるとでも思っているのだろうか バカなことを押し通そうとする人だ そう主張しているうちに いつの間にか自分におはちがまわってきた 誰も知らなかったが 彼はいまや憤りをおぼえた 夕暮れの話し合…

「あじさい」 言葉の展覧会203

てのひらにのったはなびら じつにかわいくて あっというまのせいしゅんのように 驟雨の後の 乱れ雲 その向こうに覗く 青い青い空 その下に 6月の雨に うるおう紫陽花 陽が染みこむ青紫は 生の醍醐味のような いとおしさ 色を変え 何でも楽しみに変える あじ…

「ぼくはケータイをもっていない」言葉の展覧会202

えっ もってないんですか ええ もってません なんでもたないの どうして? さもふしぎそうに きみょうなどうぶつをみるようにいわれる ぼくはケータイをもっていない まだケータイのつかいかたをしらない かみさんやむすこはもっているけれど ぼくはもたない…

「自己言及」 言葉の展覧会201

皮をはがす いちまいいちまいと 薄っぺらな皮ゆえに はがしてもはがしてもなんにもないずんべらぼう 明るく平穏な日常 の 皮を はがす またいちまい またいちまいと 透明で沈黙した皮をはがす テレビを剥がしケータイを剥がしクルマを剥がし ホウショクを剥…

「薄っぺらないま」言葉の展覧会200

私たちの時代は明るい 明るさの中に闇がある 闇からときどき 静かな狂気が正体をあらわす 不可視の菌糸のような 情念が広がっている じわじわと じわじわと 知らない間に囲い込まれる 目に見えない脅威 ここでは欺しの言葉の横行 記憶の引き剥がし 過去を取…

「今どき父母の心得12箇条」 言葉の展覧会199

一、父母は、子どもを温室育ての「いい子」にしようと思うな。ペットのように可愛がって育てるな。野生体験をさせ、子どもに大いに失敗させ、それを学びに転化しなければならない。 一、父母は、子どもの遊びと自由な時間を奪ってはならない(テレビゲームや…

言葉の展覧会198

えっえっ ど、どこへ行ったんだろう さっき書いた言葉が出てこない 登録する、にしたはずなのに な、何度やっても だめだ いったいこれ どうなってんの の の の の しばらく放っておいて 用事をしたり風呂へ入ったりしたのが悪かったのかな う〜ん 速さにつ…

「6月の青い空」 言葉の展覧会197

青空 真っ青な青空 こんなに澄み切っているのに やるせないおもい もどかしい悲しみを背負って きみは「ありがとう」の一言だけを残して 行ってしまった ぼくはどんな言葉を返せばよかったのだろう ただ黙ったまま いつまでも見続けていた 涙でにじんだ青空 …

「岸本おじさんへのお願い」言葉の展覧会196

最近はさっぱり詩を書かなくなった というか書けなくなった 身体がほとんど動かなくなり 手がしびれて自由がきかない 用足し等身辺のことは人に頼っている 68年間 死にものぐるいで生きてきた 「人間やめんとこ」の詩人は 世界中を松葉杖で巡った 大地震で…

「主婦M」 言葉の展覧会195

少しだけ病みつきになった 夢を 回転してみると ガラリと様が変わって いつものように平凡になった ささやかで何気ない日常の しあわせ よく飽きもせず続くものだわ 毎日同じことをこつこつと くりかえしくりかえし 没頭して暮らしていく この家のなかで こ…

「暗黒空洞」  言葉の展覧会194

宙に浮かぶ 巨大な長い空洞 穴の中は深閑として 森の音が幽かに聴こえてくる その姿は捨てられた古木のようであり 横たわる御神木のようである 内と外とはメビウスの輪 あちら側はこちら側になる 外から内が 未来から現在が見える 生と死がただよって 暗黒の…