2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「元若者たち」 言葉の展覧会254

あまりにも速い 変化に翻弄され 時代に流され 標準から排除された 人たち 右へ行き左へ折れ どっちつかずのまま なんにもないまま 流れに流されて 気がついたときには もう若くはなかった いまあるすべての破壊を求める声が ネットを飛び交い ときに訳も分か…

言葉の展覧会253

シャシャリキシャリキ シャシャリキシャリキ 目覚めのまどろみのなかで 奥の方から ふとこんな言葉が出てきた どんよりとしたベールが剥がされ サッと幾筋もの陽の光が差し込んできた 長い長い冬だった 怒りは爆発 シャシャリキシャリキ 通り超そう しばしの…

「人間機械」 言葉の展覧会252

なんと空々しい言葉 なんと虚しい言葉か 画面に 紙面に大写しに出ているが なぜか嫌悪感を覚える こんな人があの椅子に座っているなんて この人はつまり機械なんだな カネと数字をたくみにあやつり 身内と強者のみを優遇し 他者や弱者が見えない見ようともし…

「真夏の」言葉の展覧会251

少しずつ年を取っていく はっ、と気付いたとき・・・ 太陽がじりじりと 焦げ付く帰り道の交差点で出会った 真夏の駅の人混みのなかで別れた 10年後の約束なんて信じていなかった 夏の盛りはかなしく切ない

「茶色い瞳の少女」 言葉の展覧会250

遠くを見つめ 何かを思いこんでいるような 茶色い目をした少女 差した傘のなかで 青緑や赤紫やオレンジ色のしずくが降っている 短いチェックのスカートから 白い素足を交互に出して歩いている 世界を拒んでいるようで 世界を受け止めようとしている きたるさ…

『のはら会議』 言葉の展覧会249

宝塚の山奥に 『のはら会議』という店があった 店の女主人は、まこちゃんという絵師やなまずが 出てくる絵本をニコニコしながら読んでいた 「もえ」と書かれた棚を見るとはなしに見ていると」 女主人はひょんと本から顔を出して 「たぬきの人形買ってよ。負…

「蝉よ」 言葉の展覧会248

朝からやけにセミが鳴いている いっせいに泣き出したセミの声にぼくは起こされてしまった 本格的な夏だ 何も変わりはしないが 何かが少しずつ変わっていく 昨夜のテレビで、水が出ないためバケツで水を汲み出して 何十分もかかって水運びをしている中越沖地…

言葉の展覧会247

ある人が言う。 あまり流暢に自信満々に話す人間は信用ならへんな。 またある人が言う。 あまりきれいごとばかりを並べられると気味が悪い。 また別の人が言う。 なんと話が上手く、きれいに話されるんだろう。私、尊敬するわ。 だが、第4の人が言う。 人間…

「美しい顔」 言葉の展覧会246

ついさっきの顔と いまの顔はちがう きのうともちがっている その女(ひと)の顔を思い浮かべれば はっきりと出てこない やわらかな魅惑のベールに包まれたようで いつまでもいつまでも見続けていたいような・・・ おぼろに かすんで つかみどころがなく 何…

「いつもとちょっと違った夏の朝」言葉の展覧会245

しっとり濡れた道や家 うるおう草木 葉っぱに乗る玉露の宝石 駐車場のクルマの陰に寝そべる8匹の猫 明るい灰色の空模様 これまでとは少し違っている 夏の朝と 私のこころ 蝉がさかんに鳴いている 鬱陶しい梅雨とはおさらばだ これから本格的な夏が始まる 前…

「風景Ⅳ」言葉の展覧会244

貧困な言葉に溺れてしまって 辿り着けない向こう岸 彼方は此方の過去違い 三つに切り裂かれたタブロー 消費するばかりで何も身に付かない なにもかも出鱈目の風景 昼食に食べた鯛の刺身 鈍い目だった 「人生ってそんなに素晴らしいんでしょうか」と猫が問う …

「戦後を滅ぼすために」言葉の展覧会243

戦後を滅ぼすために 戦前を持ち出した 潜在性の荒海へ 空回りばかりの討議 問う疑心暗鬼に 行き詰まると必ず持ち出す 害的外敵 ぎょろ鈍目玉 戦後を滅ぼすために 戦前を持ち出した 戦に変わりなし ●

「風を待ちながら」言葉の展覧会242

じっと見ていると 泡がふくらんで浮かぶ ぱあんと飛び散る そんなに急ぐな ゆっくり歩こう そのうちやさしい風がやって来るから へこたれないゴキブリ のらりくらり寝そべり猫 今夜はただ在ることに祈ろう 風を待ちながら *

言葉の展覧会241

賑やかな市街地の 一画にある 朽ちた壁の館 いまにも崩落しそうであるが 僅かながらかつての豪奢さを備えている あちこちに砲弾痕の穴 現代の高層ビルの狭間で ここだけが異様にくすんでいる 壊れかけそうな入り口から入って行くと 内部は明るく清潔で 冷暖…

「居場所」 言葉の展覧会240

見えてこない どんな社会にしたいのか 提起できない どんな時代にしたいのか未来に対して 伝達できない 上の世代から下の世代へ いまは能力ある人できる人努力する人競争に勝った人のみが偏重されている その落ちこぼれが 排除された人たちが 敗者が その競…

「意匠造形」言葉の展覧会239

奇岩にわたされた印 大木に刻まれた印 壁に残った不思議な印 空間に原点を定めるさまざまな意匠 日常から逸脱したものは また日常に取り込まれる 生命のリズムを祝う祭典 つくる 造る 作る 創る 形を色を想いを 装飾を幾重にも覆い隠し 執着から惹着へ 隠さ…

「草」 言葉の展覧会238

台風が来て 激しい雨が降りしきった後 土にたっぷりと水が染みこんで また草が一斉に伸びた おちこちはもう草だらけ あおあおすくすく 太陽に向かって葉を広げ 横に茎を這わせ 土中に根を張る この営みはなんだ やわらかくいきいきとした このかがやきは だ…

「その一瞬までに」言葉の展覧会237

長々と ひとつひとつていねいに たどりながら ときに寄り道をし たわむれ ときに深いため息をつき いとおしみ ときにだらだらと ねそべった その後に さっと 色が変わり 周りの空気が濃いものに凝縮される その一瞬の 浮揚! よろこび! その一瞬!! までに…

「からっぽ」言葉の展覧会236

うつろ へやはうつろ なーんもない なかはからっぽの からからころりん うつろ あいていて ものがなーんもない からっぽの がらんどう かぜがふきぬけるだけ ・ ※夜7時より、第4回宝塚マンガふぇすた実行委員会。レジメつくり、やっと間に合う。事務局長の…

「カネ1」言葉の展覧会235

カネに くらくら 目がくらんで 暗くなり いくら諭してもわからない これだけ取って これだけ入って なんという儲け もう何でも使っちゃえ カネに くらくら 目がくらんで 暗くなり いくら諭してもわからない カネに目が眩んだ人は マヒのマヒ もう何もかも麻…

「あ・め」言葉の展覧会234

あ!! 芽 雨が 降って 芽が出るわ出るわ いっぱい 草だらけ ああ、芽がのびるのびる 緑いっぱい ああ、目がうるおう 雨 ああ、芽が出る ああ、愛でる 雨 *

「アーモンドチョコレート」言葉の展覧会233

紙箱を開け 銀ホィルを破って 取り出した アーモンドチョコレート それを口に運んで 嘗める 舌がとろけるように 甘く 初恋のように ほろ苦い 口中にチョコが無くなって 残されたアーモンドの 種 囓ろうとしたら 何かに触れた 取り出して見ると あ! 芽 *

「歩く二人」言葉の展覧会232

二人の女が歩いている どちらも同じ方向を向いている かわいげに たのしげに 足を動かしている どちらもよく寄り道をする 一緒に歩いている二人は お互い笑いながら お喋りをして仲がいい 腹の底を探り合っている以外は 二人の男が歩いている どちらも同じ方…

言葉の展覧会231

すっかり衰弱してしまったと思われたが どっこい 地下では か細いながらも脈々と 息づいていたんだかすかに吐き出す言葉に それが見てとれる 他がどう言おうと 自分の中ではそれこそが頼りで せいいっぱいのチャレンジなのだ渇きを潤すいっぱいの 清涼水であ…

「心を委ねる」言葉の展覧会230

すさんだのはなぜか? ーーそれは心の問題です その責任は? ーー基本的には親にある じゃ、社会や政府の責任は? ーーいえ、自己責任なのです かくして心は自己責任に委ねるように強いられる 心を病んで 自ら死を選ぶ人 昨日は90人、今日は100人 小さ…

「ゴミから」 言葉の展覧会229

捨てるのが当たり前だと思っていたモノ それは範囲外だと 誰も見向きもしなかったモノ 無駄で ゴミにされていたモノが Kの手によって 取り入れられると 今は立派に 美に変身し 心を癒し 生活を潤わすモノとなっている 今も捨てられるモノがいっぱい ゴミが…

「だーれだ?」言葉の展覧会228

なるほど もっともだとおもわせるが その裏は 冷酷非情 見かけはよさそうに見えるが 中身は腐っている 形だけをととのえようとする 狂った内容は誰も知らない 美しい言葉を発している だが腹の底はまっくろけーのけー *

「カエル」言葉の展覧会227

道路の真ん中に カエルが デンとすわっている なにをかんがえているのやら なにもかんがえてないのやら みあげたものだ カエルさん そこのけそこのけ おクルマがとおる カエルさん はようのけ はようのけ *

「ひらひら歴史観」言葉の展覧会226

ひらひらと 言葉が舞っている 空虚に どこいくともなく 地に着いていないので しらずしらずのうちに わが思い込みの右の方向へ ひらひら行くばかり ひとりよがりの思考は以前のレジームなのだが おおっぴらには言えないので 空の言葉だけが ひらひら 中身は…

「想像力3」言葉の展覧会225

辺土は 見るからに異様で まったくもって なにがなんやらわからないような 意味不明の言葉を 各々が発している なんて奇天烈な なんとおぞましい形相 偽装に偽装を繰り返す カリスマ権力による想像の 共同体