2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『田舎の夜、明るすぎて』言葉の展覧会1115

明るい夜 明るすぎる夜 いつからこんなに夜が明るすぎるようになったのか 明るくなってホタルが棲めなくなった ぼくの田舎 初夏、ぼくの田舎の夜のこと。家の近くの小川にホタルがいっぱいいた。ほうきでホタルをつかまえて、灯りにしたり蚊帳のなかに入れた…

『譲る』言葉の展覧会1114

このことはあなたの方が優れている わたしでは不十分 だから、あなたに譲ります @

『キャンセル』言葉の展覧会1113

歳をとるといろんな柵が増える だからバサリッと 何かコトが起こるとキャンセル 困難な事情でキャンセル 重なってしまってキャンセル やむにやまれずキャンセル ときにバサリッと 煩わしいことはキャンセル 面倒なことはキャンセル 嫌なこともキャンセル バ…

『再「生」』 言葉の展覧会1112

「生」を消失したのに どこかのだれかが またよみがえらせる 孤高にあるのじゃなく 巷の 川の中州にある 石積み 作品の力はシンプルで強く 誰が復元しようと 輝いている 「生」 今日もどこかのだれかが 「生」に気づく ※ 大雨で「生」が流失していた。 「あ…

『さわがにチョコン』 言葉の展覧会1111

雨あがりに チョコンとさわがに チョコチョコ歩いて チョコンと止まる ほんにじゅんしん チョッコリさわがに チョコチョコ歩いて おかくれさわがに あたまに葉っぱをのせて チョッコリしあん いやーまいったまいった チョコンとさわがに チョコチョコ歩いて …

『石垣』 言葉の展覧会1110

雨あがり 石は湿り 苔むし 石と石との隙間から ユキノシタが生え桔梗が生え ミントが生え百合が生える 石垣にもいのちはいっぱい 晩春の雨あがり *

『ものは朽ちる』 言葉の展覧会1109

ものは老いる ものは朽ちる ものは腐る ものは堕する ものは崩れる ものは壊れる こころも壊れる こころも崩れる こころも堕する こころも腐る ありとあらゆるものが老い朽ちる ・

『原発、すみません』 言葉の展覧会1108

今になってやっとわかりました いまさら だけれど今やっとぼくはあの時 ちょっとひっかかっていたけれど 何も言わなかった 何もしなかった他人任せ お上だのみ つくられた常識と科学と正しさを 疑うこともしなかった まさか こんなことになろうとは ごめんな…

『完全などない』 言葉の展覧会1107

完全などない 絶対などない 安全などない 専門などない 科学などない 平和などない 正義などない 政治などない あるのは不完全な人間だけ @

『美しい自然』 言葉の展覧会1106

葉っぱの上の 朝露がキラキラ光る 背景に青い青い空 広がる田園と緑の山 こんな美しい自然のなかに 生き物たちは生息している ただ そこに 人間はいない /

『逃げた政府逃げたメディア』 言葉の展覧会1105

目に見えぬ濃い霧がたちこめ出したことが 知らされるやいなや この街からいちはやく逃げた 銀行や郵便局 政府の者はもとより新聞社も逃げ出した あの街でも この国のメディアはみんな逃げ出した 逃げずにいたのは 残った住民と 外国の新聞記者やセブン・イレ…

『どん底』 言葉の展覧会1104

もうどうしようもないほど 悲しくて暗く 真っ暗な 底 そこを抜けると そこにぼうっと光がもれていた 目に見えるか見えないかの光だ 専門家や経済人には分からなかったが わかる人にはそれがわかった ここはどん底 もうこれ以上は 落ちていけない そう思うと …

『春野菜つやつや』 言葉の展覧会1103

朝露がついて つやつや 山も野も つやつや 家も つやつや 野菜も つやつや からりと五月晴れ キクナ、ミズナ、レタス、コマツナ、チンゲンサイ、・・・ 何年も前から紙箱にしまっていた種 畑に蒔いたら知らぬ間に 草とともに育つ育つ 五月の朝 これらとれと…

『古農家の活用』 言葉の展覧会1102

古い家がこれだけ面白いなんて 過ごしようによっては 田舎暮らしは最高だ 農機具類やら自転車やら乳母車やら古服やらいっぱいあった納屋は 片づけてアトリエへ これも物が積まれ床が落ちていた間は ピアノのある音楽室に これもまた物でいっぱいあふれていた…

『草』 言葉の展覧会1101

この強さはなんだろう 引いても 刈っても またすぐ芽を出し 生えるわ生えるわ 伸びるわ伸びるわ このしぶとさはなんだろう 引いても引いても 刈っても刈っても またまた新しい生命が大地に 根を張って 颯爽と ● ※朝起きたときに寒気が走った。風邪かも。田舎…

『何を守るのか』 言葉の展覧会1100

今 今のところは大丈夫 すっかり信じてしまった神話 その神話のわずかなほころびに 不安と恐れが胚胎していて 覆い隠す 事実と 真実 ・ 不完全なるものが完全を信奉する欺瞞 不完全なるものが完全を作ろうとする傲慢 ・ 奪われた土 奪われた日常 奪われた祭…

『新生』 言葉の展覧会1099

水没し 壊され 喪失してしまった「生」 生の営みを未来から見る (おそらく後数十年すれば、今正しいと思っていることや常識がすべてひっくり返されていることだろう。現在やっていることがなんと過ちに満ちていたことが歴史書で証明されているであろう。・…

『「3.11」という分岐点』 言葉の展覧会1098

「3.11」という分岐点 3月12日 。昨日の巨大地震や津波による想像を絶する惨状を見て自失呆然としている時に、神戸の友人から「これから被災地にボランティアに行く。きみは行かないのか」と拙速に問うてきた。今なお被害が進行中なのに「足手まとい…

『雨のいっぷく』 言葉の展覧会1097

ああ、きもちいい 若緑の野山がくっきり 草花が生き生き いま雨の小休止 3日間降り続いた雨も 梅雨までちょっと いっぷく ●

『整理』 言葉の展覧会1096

こんな押し入れに あまりにもいっぱい 詰め込み過ぎたので あるわあるわ 出てくるわ出てくるわ もうなにがなんだかわからなくなり ええい もう これでいいやと 投げ出して 途方に暮れている 何十年の堆積をくずし整理するというのは こんなにも疲れるものな…

『見えない』 言葉の展覧会1095

前が見えない 暮らしが見えない 危険が見えない 仕事が見えない 温かいご飯が見えない 飲み水が見えない 汚染が見えない 立ち直りのきっかけが見えない 国のかたちが見えない ※東日本大震災から2カ月目になろうとしている。避難所では今も12万人近く。水…

『つくる』 言葉の展覧会1094

カタチをつくる コトをつくる ヨクでつくる モウカルからつくる そんなのつくらないのをつくる * こころをつくる こころでつくる こころからつくる コトをつくる カタチをつくる ・

『繰り返す歴史』 言葉の展覧会1093

躁も終わり 高揚から下降へ やがて 幻滅 見ずにはいられない映像が この頃はフラッシュバックし ときどき遠隔地の私の夢のなかに チリジリに分散して軽くなり やがて日常の 回復 回復とともに失われる大切なもの 出てくる卑しいもの 繰り返してきた人間の歴史…

『引き延ばされる災害』 言葉の展覧会1092

いつまでつづく どこまでのびる 災害 いまなおつづく非常時 戦時下 ガンバレ ニッポン!! 元気な掛け声とは裏腹に 疲労は深まり 得体の知れぬ苛立ちが生まれる 空気に海に草木に動物に ふりかかり 通り抜ける 目に見えない 制御不能の怪物 *

『自粛』 言葉の展覧会1091

なに、自粛だって そんなものするもんか 喪の期間は過ぎた 今のままでやった方がかえって経済が回り支援につながるんだって そんな理屈のために 自粛なんてするもんか 「自縮」になってしまうよ ただ 何をするにも考えるにも ちょっと後ろめたさがはしる 今…

『運動公園』 言葉の展覧会1090

西陽がまばゆい まだ少し肌寒く 足早に歩く人 ゆったり犬の散歩をする老人 通り過ぎる自転車 向こうに走るクルマ 遠くに子どもたちのはしゃぐ声 西陽がかたむく 長く伸びた木の影が スローモーションで揺れる 若葉がかすかに鳴る 「さよなら」を言い合う子ど…

『お墓の花』 言葉の展覧会1089

お墓の石碑のまわりに ちいさな可愛い花が咲いていた 引っこ抜かずに そのまま飾った 風にゆられゆられ よろこんでいる ※「よろこんでいる」のは花でもあり、お墓に眠る人でもあり、お参りと墓掃除に来た ぼくらでもある。(宇部にて)

『黄砂』 言葉の展覧会1088

何かがうごめく 春 大陸の真ん中に デンと広がる大きな大きな砂漠 そこへ強い風が吹く 砂は舞い上がり 嵐となって荒れ狂う 砂塵は空高く巻き上げられ 大陸に 半島に 海に 列島に 小さな小さな島にも 降り注ぐ * 春霞 よくよく見れば 黄色い砂塵 * 大陸の …

『風評被害』 言葉の展覧会1087

人の言葉が風に乗って 人でねじ曲がり 人の間で錯綜し 人に捏造され 人のもとに帰ってきて 被害をもたらす 言葉の災いは人の災い その災いにまっすぐ立ち向かい 過ちをなおしていくのも 言葉 人 間 の ・

『少女の涙』 言葉の展覧会1086

自 失 呆 然 ・・・・・ 言葉を失ってから 悲しみが体中を覆っていたけれど 徐々に 時とともに 言葉を取り戻してきた少女 言葉は歌となり 身寄りが無くなった少女を支えだす 前から他者の言葉が聴こえ 後ろから死者の言葉を聴く 「もはや悲しんでいる時では…