2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『ぶどう』*No.2237

紫がかった黒い玉 やわらかく ひんやりと ひとつ 指で掴んで取り 見つめてみる そして口に放り込み噛む ぷちゅっと からだにひろがる 甘渋い ちいさなちいさな地球 ● ・ * ・

『私の生きた形跡』*No.2236

そして 廃寺の元墓地で 倒れた石に書かれた 読めるか読めないかの 名前の文字だけが 残されていた 200年後 □ ■ ・ ・

『人というもの』*No.2235

どうもよくわからん なにをしでかすのか なにをかんがえているのか さっぱり あーゆうてたけど すぐかわってこうゆう そうたいしたもんでもないのに えらそうにしとる まあ どっちかゆうたら あほ なんやろな きけんでもあるわ わたしらほかのいきもんにとっ…

『十五夜』*No.2234

はじめて じっくりと ながめてみた 夜空に浮かぶ 白いまんまる ときどき 流れるうろこ雲が覆う どきどき 月の小船 ゆっくりゆっくり動いて 私たちが乗った船もゆったり動く いま 十五夜を見ている ・ ・ ・ ・

『まんじゅしゃげ』*No.2233

秋の入口に赤い花だけがにょっこり ほのおの中で妖艶に笑っている 毒をもちながら おかしなおかしなまんじゅしゃげ 花のあとの葉 はみずはなみず いくつかの花びらが寄り集まって 燃える花 熱き情いを秘めて 何かおめでたいことが 起こる 兆し ・ ・ ・

『彼岸花』*No.2232

緑のなかに 炎が真っ赤に 燃えている あの世からこの世へ しばし この秋も燃えて 気がつけば 柿の木の下に 炎の花 ・ ・ ・

『笑う草』*No.2231

すこし放っておけば そこは草だらけ 怠けるな、と草は言う 怠けよ、と草は言う とにかくしぶとくて強い おまえたちがいなくなったら われわれは天下だ 刈っても刈っても すぐ伸びてくる 緑一色の 素晴らしい世界 草は笑う あちこちで草は笑っている ざわ ざ…

『遠くにいて』*No.2230

それはたいてい遠くにいる 遠くの知らないところで自由に羽ばたいている ときどき強く想うと 舞いおりてきて ぎゅっと抱きしめてくれる 融け合う至福のとき この頃はなぜかやさしい 想いが通じ合っているからだろうか それはたいてい遠くにいる いつもはそれ…

『これからの50年』*No.2229

ナニガオコッテモオカシクナイ マッタクソウテイガイノコトガオコルデショウ ぼくはTV画面を見ながらおかきをカリッと齧る 激しい気候の極端化 重なりあい、せり出す 大気と海の 大変動 コレマデ400年ヤ500年ニ1回ダッタコトガ 明日ニデモオコッテキマス ぼ…

宝塚北部・上佐曽利の壁画

(2015.9.7) (2015.9.14) (2015.9.19) ・ ・ ・ ・

『てのひらのダリア』*No.2228

忘れられた気品が てのひらにある 秋 感謝と裏切りをもつ 移り気な 秋 あやうげに 恥じらう 秋 豊かな愛情と 優美さを秘めた 秋 てのひらに すわる真っ赤な 秋 ● ● ・ ・ ・

『2015年9月19日未明』*No.2227

今日の未明、安保法案成立 * やっと戦争への準備ができた! 内心、ほくそ笑む首相 * 「世界の中心で輝ける国に」したい (安部首相) * 「中心で輝ける国」野望の首相の下に 処世術や利害ばかりの多数党派の政治家たちが 押し通した法 * この日をもって…

『母』*No.2226

だいてもらって だきしめてもらって おっぱいもらって おしっこやうんちのせわをしてもらって まいあさまいばん わたしのせわをしてくれた 母 わたしのする いいことわるいこと すべてをうけいれてくれて ゆるしてくれた 母 ときどき まちがったこともおしえ…

『赤子を抱いて、雨の中』*No.2225

降りしきる雨 もう夜中 なのに きみは 赤子を抱いて 叫ぶ 寝ていませんよ 昨日から明け方まで と隣りの若者 あの重固い建物の中まで 届いてほしいこの怒り 聞いてくださいこの声を 厳めしい建物の中では この外とは全く無関係 内と外とのこの落差 もみあいへ…

『初秋の時間』*No.2224

小雨降る秋の日に ギターをポロンと弾いて 歌ってみた 懐かしい、あの頃流行った唄 身にしみる時間・・・ よく降る雨だ 最近は災害を齎すおそろしい雨 抒情と綯交ぜに 胸ふたぐ 朝からばたばたすることがあって なんとか落ち着いた午後のひととき 初秋のもの…

『葉っぱの上の哲学者』*No.2223

欅の葉っぱの上に ちょんと座って 何想う アマガエル 吾れ座る 故に吾れ在り 葉っぱの上の 哲学者 いつまでもジッと 動じない 動じない <今日はステキな秋晴れだ> ・ ・ ・ ・

『台風のあと』*No.2222

局地的に豪雨をもたらした 台風が 去って わずかに青空が顔を出した ある東の地は泥の街になった ある一画で 流された家の跡地の 異様な泥を見る 自失呆然とした人の 姿 ジーッと 動かないまま 雲間の 奥の 空の彼方 から 無常の鐘の音が 鳴り響いている 昨…

『言うのは、今でしょ!』*No.2221

今、言わなかったら いつ言うの? 今、止めなかったら いつ止めるの? 今、言っておかなければ 取り返しがつかなくなって 破滅に 死に向かって 猛突進する前に ・ ・ ・ ・

『とるに足らない「アリの一穴」から』*No.2219

この地では アリの一穴が みるみる広がって 壊滅的なものになる 最初は、ほんの僅かな 話せば分かる、とるに足らない 接触が 情を報じる輩たちが大げさに感情的に取り上げ 我欲と勇ましさに暗んだ 政(まつりごと)する輩たちは煽動し 強気と喧嘩好きの民が…

『ジャズ』*No.2218

おどる 飛び交う 舞う 跳ねる 音が 声が おどる 飛び交う 舞う 跳ねる 流れる音、音、音たちの 美しいこうずい 秩序だって自由に おどる 飛び交う 舞う 跳ねる 悲しく陽気に まがりくねるメロディ 沈んで迷って昂揚して 音の中によみがえる あの日々 あのお…

『愚かな指導者たち』*No.2217

気付かないんだろうか 目が覚めないんだろうか もう、とうの昔から劣化し 根っこから腐っているのに まだおのれの自惚れと利と欲にしがみついて 押し通そうとする 自分ですらよく分かっていない 間違いだらけの 紙きれに書いた言葉 法(のり)の案 世界が、…

『ダリアと月』*No.2216

ダリアは月になりたかった 優美で気品をたたえたダリアは 夜が更けるといつも月をあおいでは ふかいため息をついた 毎日あまりにもおもいつめたので いつしか 花びらのなかに月が入っていた 今宵ダリアは 美しく 月の ひとりじめ ゆら ゆらと ・ ・ ・ ・ ・…

『コトバ売り』*No.2215

コトバをこのへんに並べておくから みんな持って行って 使っていいよ みんな無料、タダなのさ いいコトバがあるよ 懐かしいコトバだって ハッとするコトバだって 胸がキュンとなるコトバだって ちょっと ほんのちょっと時間をとって 役立ててくればいいんだ …

『自転車に乗って』*No.2214

自転車に乗って田舎へ行こう トンネルをくぐり 山を越えて 黄金の稲穂が揺れる 畑はゴーヤにナスにサトイモにトウガン 池に空が映る 野にも山にも 緑があふれる 雨上がりのいい天気 懐かしい日々 懐かしい未来 自転車に乗って田舎へ行こう ・ ・ ・

『ほんの一瞬先の』*No.2213

ほんのちょっと先 一瞬先の 現実 雲の動き と 自分の動作 耳を澄まし 目を凝らす ・ ・ ・

『夏から秋へ』*No.2211

カンカン日照りが続き 暑い暑いと項垂れていたが 今度は ジュクジュクと 曇天続きで雨が極所にしこたま降ってる 知らぬ間に 夏から秋へ この変化のなかで 私はオロオロと迷うばかり あれから迷い道を彷徨って・・・ 何をしているのだろう いったい このオレ…

『嫌な夢』*No.2210

嫌な夢を見た 騙される つまはじき 蹴られる・・・ なんと嫌な夢なのか 人と人の間の夢である 「人・間」の負の部分 良いことづくめではない 悪いこともあるぞ という警告か 夢の調整バランスか あるいは内臓の悪化か とにかく嫌な夢だった 見たくない夢だっ…

『白百合』*No.2209

いつのころからか庭に百合が生え出した 真っ白な百合 幼かった頃のあの子の面 なのか 無垢の日々の * ゆり 白く白く ゆるりゆるり ゆられた 純粋のきみ * 真っ白に咲いていた百合も ゆるんと消えてしまった 夏が終わりを告げ 秋が来た * ・ ・

『ちょいと行ってきて』*No.2208

朝、ちょいと 裏の畑に行ってきて とれた野菜 キュウリにナスに トマト ピーマン、モロヘイヤ、アオジソにアカジソ ミョウガ それにスイカさて 今日はちょっと時間をかけて 朝食をつくって 食べよう ・ ・ ・

『夢十や』*No.2207

夢十や 仲清人 一 トントン、 トントントン と扉をたたいた 明けまして あっ、とおどろいた そこには 夢がちょこんと 突っ立っていたからだ なぜ夢なんだ?! なぜって、あなたの夢だからです 驚きとも幻とも喜びともとれないで これ、これなんだよ と泣いて…