2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『器』言葉の展覧会1686

曲がり込みを乗り越えると そこに切り込まれた窪みがあり か細い銀が填め込まれていた 結び目は 出逢いの喜びのように どこか奥底の方から 美しい音楽が流れてくる 千年前と千年後の風景が同時に 浮かび上がる 感じる 指を通して 染み入る 肌と肌の対話 ● ・

『分子の夢』言葉の展覧会1685

この花は花であるけれど花ではない この猫は猫ではあるけれど猫ではない この蟻は蟻ではあるけれど蟻ではない この水は水ではあるけれど水ではない この私は私ではあるけれど私ではない 千年後の時間の経過を観る 生命が流れて 百万年後の 私は蟻になり猫に…

『蚊よ』言葉の展覧会1684

蚊よ 子を産むためだからといって そんなに血を吸いに来ないでおくれ もう手足顔が痒くてかゆくて そんなにやって来るとぼくの心ない手が おまえを叩き潰してしまう しかし おまえはすばしっこい たいてい逃がしてしまう ところで 「ぼくはおまえのような 蚊…

『コスモス2013』言葉の展覧会1683

いちりんにりん ポッ ポッ とコスモスが咲き出した 秋がここ あそこに見つかる * 自分がいちばん美しく見える秋に 私は咲く 秋の花 秋桜 * 夜が更けても 眠らないコスモス 夜風と 宇宙が恋しくて ※COSMOS=宇宙

『川の大石』言葉の展覧会1682

大きな石 濁流の端っこに デンとすわっている 転がってきたのか 流されてきたのか えぐられて出て来たのか 川の中のでっかい石 雨にうたれ 水につかり えぐられる大石 下では貝が引っ付き カニがかくれんぼ 上では鳥がとまり トンボが休み アリが往来する な…

『つるぎの山』言葉の展覧会1681

一 あなたはそっと手をさしのべてくれた 険しい山道 汗を流しハァハァ言いながらわたしは登る あなたと手をとりあって あの日のことを思い出そうとしても 思いだせない だけどあなたが手をさしのべてくれたから わたしはいま あなたと山を登っている つるぎ…

『元気やね』言葉の展覧会1680

元気やね 岸本てるみ 一 あんたいつもひょこひょこして 歩けないのに こんなときには 元気やね 足の腫れも消えてしまうって 元気やね わたしには やらんなあかんことがあるんで 元気出さんなんって 足引き摺りながら 元気やね 二 あんた、足見たらぶくぶくし…

『台風』言葉の展覧会1679

ビュー、ビョー ビュー、ビョーと 吠え 唸り 叫ぶ風 そのなりわいを空に荒げれば たんまり水粒が集まった雲は追い立てられ 大雨をもたらす 降りし雨はゴーゴーと雄叫びをあげて流れ 道も街も川と化し 木も家も車も人も呑み込む むかしから人たちは何年間の荒…

『田舎の料理屋』言葉の展覧会1678

山あいの田舎の奥の片隅に ひっそりと料理屋はあった のんびりとしたおかみは のんびりと話す 一日ゆっくりと味わい寛いでもらいたいのです 食事と田舎の風景を 黄金に輝く稲穂の段々畑と 森閑と水をたたえた池と 囲む山と山に 秋が実りだした 少しずつ のん…

『雲が笑っている』言葉の展覧会1677

雲が笑う そよ風がふいて 木の葉がさわさわと音をたてた その伴奏に小鳥たちが歌った あの日 あなたは大きな木を見上げて真っ白な歯を見せた 草の上の手はつやつやと 足はすらっとのびやかに あなたのすべてがかがやいていた あの日 なにもかもがかがやき あ…

『みどりの笑い』言葉の展覧会1676

山が笑っている 野原が笑っている 木も 草も 笑っている 風にゆられて 枯れかけの花も笑う 小鳥が笑っている 虫が笑っている 猫も 犬も 笑っている おかげで しかめっ面をしていた人も笑う 悲しい顔をしていた人も笑う 〜 ^^ 〜 ● ● *

『3匹の白猫』言葉の展覧会1675

気まぐれ ゆうじゅうふだん いじわるでおこりんぼ 3匹の白猫は 3匹とも てんでバラバラ でもどこか あたたかい線でつながっている * *

『視点』言葉の展覧会1674

すわって、子どもを見ながら話す 遠くから自分の家や街角をながめる コップにさした一輪の花を通してあなたを見る あなたの目を通してわたしを見る 見る位置を変えるだけで 何かが変わり 何かが生まれる * ・

『秋空』言葉の展覧会1673

いつの間にか高く上昇し 大空を飛び交っていた 真白な雲はやわらかな秋になって 大地をつつみこむ 鳥とあそび虹とたわむれる ずっとずっと遠い彼方から 懐かしい歌がきこえてくる 遠いとおいむかしに聴いたような わたしは思わず歌っていた 宙の詩を あっ、…

『紙飛行機』言葉の展覧会1672

ああ、あんなところに彷徨っている 漂う根なし草になってしまった芯 ふわふわと なにげなく見上げた空に 様々な形象が描かれ 熱の冷めやらぬ断片が飛び交って 浮足立った時代がまた再びやってきた 灰色のわたが流れている 垣間見られる惨い過去そして未来 す…

『友』言葉の展覧会1671

ともすれば真夜中に 灯火を 点し 酒を飲み交わし 語り合う いろんな違いはあるけれど 違いを乗り越え ときにぶつかり合い ときに泣き ときに笑い合う 許し 認め合うようになれば親友 芯に真あり 新に信あり ひと、くに、いのち、・・・・・ やはり持つべきは…

『秋の虫と歌を』言葉の展覧会1670

♪ 知らないうちに秋が忍び寄っている 星が光り 熱く燃えた夏 今は涼しい夜風に流される 何千年もこうして星空を眺めた記憶が いつもあなたが傍にいた幸せが 歌になる ルルルルルルー 秋の虫とともに 歌おう ルルルルルルー あんなに悲しかったのにもうそれは…