2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「ゼロ年代 その1」言葉の展覧会619

男と女は 群れ 少しだけ戯れ すぐに別れていく この充たされた たいらな戦場で 戦いから排除された者は この空間にはあらかじめいない ・

「萌えの死滅」言葉の展覧会618

萌えは燃えてしまい もーえー かわいい 可愛い ああ可愛い あなた可愛い わたし可愛い これかわいい みんながみんなが かわいい!! かくして形成された萌え共同体 広まり定まり こり固まり そこから飛び出した排他性 差別 かくして 萌えは燃えてしまい もー…

「友達づくりゲーム」言葉の展覧会617

友達がいない 友達をさがす 友達は見つからない ああ ああ ああ ピアという島宇宙で 友達づくりゲームが流行っている 小学校で中学校で高校で大学で 目に見えない どうでもいいような 熾烈なバトルロワイヤル 人の目を考え 人の空気を気遣い 人に合わすよう…

「世相」 言葉の展覧会616

広がったのはいいが ドッと押し寄せてきた安い水 救済していたものが救済されるものに 上がって上がって 下がりに下がって あぶくばかりがぶくぶくと 高きは低きに 低きはさらに低きに 終章が始まりだしたんだろう 「人気」に乗る人 後を絶たず 賞味期限もそ…

「真夏の朝の夢想」言葉の展覧会615

朝から暑いのです とにかく暑いのです ところで時間というものは在るのですか 白い雲からさらさらと砂が落下する 砂裸砂裸と 光は走り白色となり 白色は考え光となる そして真っ白な室のできあがり いつのまにか剥がされた床から にょきっと生えてきた灰色の…

「緑」 言葉の展覧会614

緑のなかに いる ただ緑につつまれて み・ど・り なんていいネーミングなんだろう グリーンというよりもよっぽどいい 「みどり」 もしあなたが心身ともに疲れたとき ストレスがいっぱいになったとき 緑を見てごらん 緑がもつ電磁波としての 色の力 アセチル…

言葉の展覧会613

ガラガラ ポン とこれまでのことは みんなさよならして ガラッと すべてを変えることができたらなぁ ・ ※暑くて暑くて何も想い浮かばない。

言葉の展覧会612

なにかあるんだろう この事件の背後に こんな生育歴と心理状態で こんな格差・貧困化を背景として この事件が起こったのだろう いまの若者たちはいったい どうなってしまったのだろう 甘やかされ好き放題に育てられてきたから 世界は破壊されようとしている …

「行方不明」言葉の展覧会611

どこかへ行ってしまった 隠れたのか 逃げたのか はたまた消えたのか 捨てられたのか 痕跡などもうどこにも残ってはいない 捜しに捜したが見つからず 調べに調べたが分からない そんなことやったってただ暑いだけだ もう必要ないのかもしれない もうどうでも…

「『誰でもよかった』殺人」言葉の展覧会610

くりかえし くりかえし起こっている 「誰でもよかった」殺人という記号は リピートする カネとジョウホウとヒトの一元化と階層化と固定化の元に 「幼児的全能感」と「卑小広大感」で装った うすっぺらぺらぺらの愚かな虚無がうようよと待機して ひのめをみる…

言葉の展覧会609

満ち足りて これだけ自由なのに どこか疲れている 何かが間違っていると思う 何か分からない不満がある 世間に対する違和感 自由であるはずなのにとても困難なのだ 未来が信じられず だから私も信じられず 逃げている 逃げて逃げて ひたすら逃げようと 藻掻…

「滝」言葉の展覧会608

苔むす岩のあいだを じつにここちよく 水が落ちる 清く 涼しく 砕け散る飛沫 緑の中で 眩しく ・ ※ 今日は妻と二人で赤目四八滝に行った。四年ぶりである。目標の夫婦滝までなんとか行って引き返して来た。足はがくがく。 汗かき緑かき分け よくここまで来ら…

「夏雲」言葉の展覧会607

ごろり と畳にねころんで 窓外をみている ゆっくりゆっくりと 雲が 青空をおよぐ 昨夜のどしゃぶり雨が嘘だったみたいに じつにのんびりと 窓全体を白いわたが占める やがて透き通った青一色に ゆっくりゆっくりと 多忙さを笑うかのように スピードを哀れむ…

「コトコト」言葉の展覧会606

個になったことが 実に重いことであることか かつては望んでいたのだったが 実現してみれば そんないいものではなく むしろ底知れない困窮が そこにあった 個は孤へ 漠然と あるとき突然に 死がやってくる 自ら 知っていたかのように 個と孤と ことこと コト…

「永遠に生きたい」言葉の展覧会605

こっちの冷凍室には数々の細胞が ケースに保存されている あっちの冷凍室には数多の頭の部分が 台に載せられている 幾年かが経ち冷凍室は壊れている ケースがゴミの山となり 白い骨が散らばる また幾年かが経った もう何もかもが砂に埋もれている そこを痕跡…

「push」言葉の展覧会604

引いてばかりいて 引くことに慣れて 引くことしか知らない だからたまに引けなかったとき 落ち込んでしまい つらい辛い思いばかりを しているあなた たまには押してみるものだよ 自分がこうしたいという心を持ってみな 最初から引いちゃ絶対駄目 大切なこと…

「生命の起源」言葉の展覧会603

暗い闇から とおいとおい記憶が呼んでいる まだ名付け得ぬものの 石の箱 ふくろがふわふわ浮かんで とじたりひらいたり はいったりでたり 記憶の底に沈潜している あなたのような わたしのような 近くて遠い声 暗く明るい光 とざされたものは ひらかれたもの…

「こうきのう」言葉の展覧会602

精気ない能面 飾ってあるのはもう一つ 悪意のある小僧 複写だけが取り柄の同一性 何もかもが出鱈目だ あの頃きみは若かった 何もかもに燃えていて ずっとじっとしていなかった 何に脅えていたのだろう 急にキレて他者への暴力 所詮は複写なんだよ 細胞の記憶…

「静物画」言葉の展覧会601

リンゴ メロン マスカット オレンジ ・・・ 豪奢な皿の上に盛られた果物 立派な額縁に収まっている 静物画 だが よく見ると 少しずつ姿を変えていく わずかだが朽ちへこんでいる やがてカビが生え腐り 崩れ落ちる カビは果物全体に真っ白に蔓延り 真綿のよう…

「追っかける」言葉の展覧会600

追っかける 追っかけても追っかけても 見えない分からない 掴めない うつろうかたち へんしつしやくどうするせん ただそれをつかみたいために また追っかける 追っかけながらおもう なんのためにぼくは言葉を書き連ねるのか なんのために映画は本は世界は 歌…

「シャボン玉」言葉の展覧会599

シャボン玉の中へは 情報ははいれません 周囲をぐるぐる回っているだけです (ジャン・ゴクドー「ゴクドー詩集」より)

「墜ち葉」言葉の展覧会598

夏の日の ブヨブヨンの ためいきの 身にしみて ひたぶるに うらめしい。 金のおとに 胸ふたぎ 色かへて 涙ぐむ 昨夜の宿の鏡の おもひでや。 げにわれは うそぶいて こゝかしこ さいげんなく 偽装する 墜ち葉かな。 (タオル・ヴェタヌーレ「海弔音」より)

「夏の朝」言葉の展覧会597

時は夏、 日は朝、 朝は九時、 宝塚に雲広がり、 ゴミ置き場にカラスなのりいで、 ゴキブリ床に這ひ、 紙、そらに知ろしめす。 すべて世は事ばかり。 (ロバアト・カンニング「海弔音」より)

「山のこなた」言葉の展覧会596

山のこなたの空近く 「災い」住むと人のいふ。 嗚、われひとゝ尋めゆきて、 涙さしぐみ、のぞきみぬ。 山のこなたのなほ近く 「災い」住むと人のいふ。 (カアル・バッセ「海弔音」より) ・

「跋扈」言葉の展覧会595

飛沫があがり壊れて無数の丸い水滴になる こんなものじゃないはずなのに 黄昏れていく世界 何が正しいのか何が間違っているのか とんと分からない混沌状態 弱者のフリをする強者 目に余る強者の専横 強者を助ける紋切り型思考 ばっこばっこ跋扈 前の世も今の…

言葉の展覧会594

このシンプルな身体の中に 血液の川が流れ 木の枝のような真っ赤な生命力は すべて線に置き換えられ 合流しくっつき いのちの繋がりを垣間見る どこへ行ったのだろう あの記憶は あのとっておきの素敵な始原の記憶は 残されたユーモアだけが この荒涼とした…

言葉の展覧会593

この流れに組み込んである いたいけな想像の魑魅魍魎 一体何の因果で天にまで届 こうとするのか圧倒的な力 が漲りすでに削除してしま った言葉を惜しむようにも はや思い出せない記憶を辿 るが始原の記憶はほとんど 白紙の状態だが何かがこの 大都会の砂漠に…

「錬磨」言葉の展覧会592

周囲に散らばる光を取り入れて 艶々と繊細に 自ら輝き出している 歴史を一切拒む 流麗な このアルミニウムはなんだ ・

「冷徹な夢」言葉の展覧会591

なめらかに 鈍く ひかっている 金属のスパイラル ぐるぐると 螺旋マイハウスの蝸牛 蜷局を巻くコブラ 冷徹で しなやかな夢 体内に赤い光が通り ときどき思い出したように 想像のなかで点滅する ・

「都会の孤独」言葉の展覧会590

ビルを凌ぐほどの大きな石ガエルが 都会に鎮座している 路上を切り株が歩いて 少女が小さな動物を吐き出している ビル内には生命体の内臓がうごめき 時を刻んでいる