2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「5月への別れ」言葉の展覧会558

鬱陶しい空を残して 5月が去っていきます 紋切り型の春はもうとっくに 終わっていて シャツは乾くだろうか 平穏な日常に突然の狂気 なんて今じゃ自明のこと もはや自明なものなど なにひとつないというのに パンツも乾くだろうか 空は鬱鬱としたままに 新し…

「80年代」 言葉の展覧会557

幸福な錯覚という 盲点 なんでも欲しいものが手に入る という幻想が 現実を呑み込んで なんやら泡が ぷくぷく みんなと同じといって みんなが横並びになって 虚構ボックスの方を向いている 断片に宿る普遍的世界 なんて あるやらないやら 泡とともに 欲望と…

「一杯のお茶を」 言葉の展覧会556

言葉を使えば使うほど 詩を書けば書くほど 空 空 から からまい 空しいおもい それよりもあなたに 一杯のお茶をいれましょう * ※この「言葉の展覧会」も556回。毎日載せていいるが、いつまで続けるのやら。 ああ、風邪がぶり返して、しんどい。

「現実への逃走Ⅲ」 言葉の展覧会555

てっきり仲間だと思っていた 友達だと 子どもたちは遊ぶ 武器をもって悪と闘い 自ら悪となって すべてを破壊する ゲームなのだ これは てっきり敵だと思っていた 30年後の反復 現実の中で 現実に向かって 敵というのは 自分だったのだ 実は ●

「現実への逃走Ⅱ」 言葉の展覧会554

おだやかに見えるけれど 実は激しいんだ 内に向かう 内へ内へ なにかもうわけがわからなくて むしょうに むやみやたらと むしゃくしゃと おのれを傷つける あるいは 強く苛立たしく 神経をたたきながら ときに あたかも おそらく 自らを死に向かわせるように…

「現実への逃走Ⅰ」 言葉の展覧会553

いまここ この中で つきつけられた現実 思考が止まり 未来が消える そうじゃない いやそうなるのだろう おそらく 希望がなく 夢もなく 幻もない なにかいやな どうしようもない予感 自分を壊すだけしかない 不安 逃げる逃げる 現実に向かって まっしぐら ●

言葉の展覧会552

危険を全部とっぱらって カプセルに入れられたフィクション 密閉された独房 ざわざわと 抜き取られた暴力がさわいでいる ・

「事件」 言葉の展覧会551

たったひとつぶの 他者性を感受したくて 身体を加工する 嫌悪していたものが 執着するものへと反転 さまざまな謎さまざまな逆説 ・

「60年代」 言葉の展覧会550

来訪者は殺された 過去の自分を隠蔽しようとする成功者によって 土地は表と裏に分けられ 繁栄は挫折した親密なる他者の上に築かれていた なんとも言えない負い目と 後ろめたさ 約束はついに果たされず死者を封じる 裏切りだけが辺りに漂っている 捨てられて…

[]言葉の展覧会549

夢が叶えられた街の郊外 到達した理想に 一緒にいるのにバラバラな家族 あるいは積極的な介入 まなざしの不在が地獄のなかで 覗き見られたい透明な少年は 人の眼を見ながら 人を殺す ・

「68」 言葉の展覧会548

貧困は街の外れの外壁に接する すぐ内側で生まれた 外にひろがるあらゆるものを駆逐して Nはいつも覗き見ていた憬れの都市を しかし都市からは侮蔑の眼を持って見返された 深刻な挫折と疎外 理想への呪縛 Nは前に立ちはだかる者に向けて 銃を乱射した ・

「泣かないでロスジェネさん」 言葉の展覧会547

泣かないでよロスジェネさん 泣いてもしかたないよ どうしてそうなったかを知ることだ つまりは 犬も歩けば「新自由主義」に当たり 「市場原理」が笑っている ということなんだよ えっ全然わからないって うん 資本の世では格差が闊歩する つまり 一部の「高…

言葉の展覧会546

左から右へ ぶれ 右から左へ ぶれる 社会がぶれる 人がぶれる 同じ人の欲望と 仕事や生活の間もぶれて 右往左往 ・

言葉の展覧会545

むしむしと暑い 瓦礫の山 剥き出して がしゃんとなってしまったコンクリートの上に 雨がおんおんと降りそそぎます 漂う腐臭のなかで 誰かが消毒剤をまいています このままいけば 山は崩れ 土砂が商店街をまるごと押しつぶすにちがいありません 降り注ぐ雨の…

「朝風呂」 言葉の展覧会544

疲れすぎた夜を 次の朝はすっかり消してくれる 冷めた昨夜の風呂をもう一度 あたためなおして 入ってみる ああ いい湯 爽やか と一言で言えるステキな心地 他所ではサイクロンや大地震で何万人と人が亡くなり苦しんでいるのに なんだか・・・・・・ 窓外には…

「ゆっくりぼうや」 言葉の展覧会543

まぬけな午後 からっぽの頭で ゆっく りぼうやと話してみる どうしてそんなにゆっくりなんだい? ーーゆっくりと名付けられたからゆっくりなのさ ゆっくりって好きかい? ーーうん、好きだよ いま何を思っているんだい? ーー走っている人ばかりだから、 当…

言葉の展覧会542

一日ひとつ 何かこころあったまることをしよう これはぼくだけの だれも知らないひ・み・つ なんだか芯からあったかくなるような

言葉の展覧会541

これは私だろうか 私とあなた 対話のなかで常に新しく 私を始めようと 自問自答 これは私だろうか ・

「バブル」言葉の展覧会540

なんやら泡がぶくぶくぶく なんでもほしいものが手に 幸福な錯覚という 盲点 みんなと同じと言いながら バラバラ化 あわとともに ぶくぶく ぶく ・

「四川大震災」言葉の展覧会539

ほんの一瞬 大地がふるえたばかりに 死んだ人 生きながら埋まった人 家族を亡くし泣き叫ぶ人 悲嘆地獄 自失呆然 途絶悶絶 よみがえるあの時 ・・明日は我が身 地球はかくも 雄大で 残酷なのか ●

「共現在」 言葉の展覧会538

それがかち合ったとき 中へ中へ 吸い込まれるのと 外へ外へ 撥ね付けようとするのと 求心と遠心がごったになって 行き所なく逃げ場なく 強い磁場をよろよろおよいでいる 眼 まなざしあう 私も 他者も おもいがけない言葉 気付いていない表情 共時の ・

「15年後日本人の分類」 言葉の展覧会537

今後日本人を以下のように分類して 税金を徴収し各々の分に応じた施策をすることにする。 尚財政難の為お国の役に立たない後期高齢者に於いては 年金は支給しないこととする。 前期低齢者 後期低齢者 前期中年者 後期中年者 前期高齢者 後期高齢者 ・

言葉の展覧会536

本能的に獲物を消化するだけの うつろな目 ただその日を快適に生きるだけの 形骸化したいえ 次から次へと暴かれる不都合 もつれ 行き違い あやまち 崩壊へ猛速度で向かっている どこを探してもみつからない みられるのは ウツボカズラの夢 ばかり ●

「しわ」 言葉の展覧会535

しわが増える 3つ4つ5つ・・・ もうおじいさんおばあさん あんなに若かったのに 若さを食べてきたのに しわが増える 3つ4つ5つ・・・ 生きてきたしるし 人間としての貫禄 しわという老い方 ・

「一杯のお茶」 言葉の展覧会534

言葉を使えば使うほど からから から 空 ま い 空しいおもい それより あなたに一杯の お茶をいれましょう ・

「言論の自由」 言葉の展覧会533

まっさらで 透き通ったガラスなのに 異質なものを嫌い 排除したためか ちょっとした小石がとんできて 少しひびがはいった また小石がとんできて ひびが少し大きくなった でも自分には関係なかった そうこうしてそのまま放っておくと ひびは少しずつ 少しずつ…

「記憶」 言葉の展覧会532

もう今となっては なつかしい思い出 あのときの出来事 きみが言った言葉 現実と切り離され 虚構のような記憶 もうすでに失われてしまった 何かについての言葉 穴を掘り石を積む ただ闇雲に掘った穴 何かの上に立って その横に石を積み水を流し 花を添える こ…

「5月の空」 言葉の展覧会531

まだ21世紀になったばかり 入ったとたんに嫌なことがいっぱいあったけど もうお先真っ暗だって想っていたけど これからなんだ 窓を開け青空をながめてみると 夢をみたくなる 恋もしてみたくなる これからもいろいろあるけど 未来はずっと先 まだ ・

「風に誘われて」 言葉の展覧会530

窓を開けると そよっと爽やかな風が入ってきて私の頬を撫でる 風通しが少しよくなったようだ 窓外は未だ不安だらけではあるが 心地よい風が戻ってきている 風は何かを伝えに来たのだろうか それとも 誘いに・・・・・・ いつまでも馬鹿ではいられない 過ぎ去…

「おばあちゃん」 言葉の展覧会529

もうしわくちゃの顔と しわしわの手で ぼくの手を握る 刻まれた時の感触が 足先まで伝わってくる 肉親というものを超えて 「生きつづける」というものとの 出会い ・