「部屋に眠る物たち」   言葉の展覧会173

本棚の奥に隠れて
もう30年も聴いていない
あの時のレコード
本棚の間の奥深くに入って
錆び付いた押しピンのあるポスター
押し入れの隅っこの箱の中の
黄土色の雑誌の切り取り写真
今はもう跡形もないあの喫茶店のマッチ
錆びてしまった万年筆
貝殻


部屋の中の
思い出を秘めた物たち
ぼくと関わってきた物たち
捨てきれない物たち
いまは静かに
やすらかに眠っている



※これらの言葉の後、以下のように続けたかったが止めた。


捨てきれない物たち
を発見して
ふっと想う
孰れどこかで
再び新たな光を注いで
あげたい


もちろん、新たな光を注ぐのはアートの力によってなのだが、それを言うにはまだ早いだろう。