「こうきのう」言葉の展覧会602

精気ない能面
飾ってあるのはもう一つ
悪意のある小僧
複写だけが取り柄の同一性
何もかもが出鱈目だ


あの頃きみは若かった
何もかもに燃えていて
ずっとじっとしていなかった
何に脅えていたのだろう
急にキレて他者への暴力


所詮は複写なんだよ
細胞の記憶外の模倣


ただ見られることだけが
孤独な中心円を描いている
人の間に残されたわずかな水溜まり
光がか細く
こぼれ落ちて