「蝉よ」 言葉の展覧会248

aiueokaki2007-07-25

朝からやけにセミが鳴いている
いっせいに泣き出したセミの声にぼくは起こされてしまった
本格的な夏だ


何も変わりはしないが
何かが少しずつ変わっていく


昨夜のテレビで、水が出ないためバケツで水を汲み出して
何十分もかかって水運びをしている中越沖地震の被災者が映し出されていた
あのとき(阪神大震災)は水やガスが何日も出なかった
ようやく4ヶ月後に出た水はどんなにありがたかったことか
人間は水なしでは生きていけないということが肌身に沁みてわかった


セミがひっきりなしに鳴いている
この夏はわたしたちのものなのだ


大地はよく震える
震えるのはいいがそこに住む生き物をお構いなしに犠牲にする
大地に居を借りている人間もそうだ
あの時の恐怖はささやかな希望へ
そして希望はまた新たなる恐怖へ 絶望へ


ものごとを深く 深く 見ることだ
主観をいれずにどんどん深く
そうすると 空気が澄んで
全ての景色がおだやかにありのままになる
ただセミの声だけが聞こえてくる
そうすればセミの命を受け入れることができる


今 セミの声からは逃れられない
やっと地上から出て わずかの命をまっとうせんと
ただひたすら鳴いている
地球上にとどろくように鳴いている