言葉の展覧会241

賑やかな市街地の
一画にある
朽ちた壁の館
いまにも崩落しそうであるが
僅かながらかつての豪奢さを備えている
あちこちに砲弾痕の穴
現代の高層ビルの狭間で
ここだけが異様にくすんでいる


壊れかけそうな入り口から入って行くと
内部は明るく清潔で
冷暖房完備のエレベーターホール


ボタンを押す
到着表示灯がつく
しかし扉は開かない
押しても押しても
開かない
待てど暮らせど
開かない



※カラム・モートン「Valhalla」