『黄砂』 言葉の展覧会1088
何かがうごめく
春
大陸の真ん中に
デンと広がる大きな大きな砂漠
そこへ強い風が吹く
砂は舞い上がり
嵐となって荒れ狂う
砂塵は空高く巻き上げられ
大陸に 半島に 海に 列島に
小さな小さな島にも
降り注ぐ
*
春霞
よくよく見れば
黄色い砂塵
*
大陸の
西はタクラマカン砂漠の
北はゴビ砂漠の
中央は黄土高原より
砂塵は遠い旅をして
飛来し
海を隔てたこの土地に
たちこめる
黄砂
*
※ここ何日間か山口県の宇部にいる。今日、春霞がたちこめているんだな、と思っていたら黄砂だと言われた。そう言われると、少し黄色く見える。朝、義父のいる病院へ行くために車に乗ると、ロントガラスは細かい砂塵がこびりついて曇り、前が見えない。遠いユーラシア大陸のタクラマカン砂漠などがある辺りからこの黄砂が飛来して来たんだ。グローバルとはこういうことを言うんだろうな。地球のくしゃみを想う。