『田舎の夜、明るすぎて』言葉の展覧会1115

明るい夜
明るすぎる夜
いつからこんなに夜が明るすぎるようになったのか
明るくなってホタルが棲めなくなった
ぼくの田舎



初夏、ぼくの田舎の夜のこと。家の近くの小川にホタルがいっぱいいた。ほうきでホタルをつかまえて、灯りにしたり蚊帳のなかに入れたりして楽しんだ。
しかし今はもういない。農薬や電灯、コンクリートの設置、車の往来等の「便利」がホタルを殺したのだろう。
あれはコンクリートで固める護岸工事の前だった。見事なほどあかあかとホタルが乱れ飛んでいた。あれが最後のホタルの生の乱舞だった。
あれから何年が経っただろうか。20年ほど前に、1匹のホタルがひょろひょろと今にも落ちてしまいそうに、少し暗い田んぼの横の溝の上をさ迷い飛んでいた。
明るくなりすぎた田舎の夜、ホタルは一匹もいない。



※なんとか田舎の暗さを取り戻せないものか。せめて、ホタルが灯をともす時期だけでも。