『動物は人を裏切れへん』No.3426

もう何度よっちゃんは同じことを言うたか。
「犬(動物)は人を裏切れへん」


元日の夕方、何十年も会わなかった竹馬の友がまた親交が復活して愛犬を連れて来訪した。「今日おまえの車があったんで来た。・・・明日から仕事あるし」。「そうか、新年からようがんばるな」。早速、近所よりいただいた鹿で鍋をして、つつきながら一杯やった。
よっちゃんは愛犬マリと共に生活をしている。ぼくはこの西谷では、2匹の愛猫ツムギとツバキと暮らしている。
「犬(動物)は人を裏切れへん」飲みが進んで話がはずんで行ったとき、ボソッとよっちゃんは言うた。
「なるほど、せやな。猫もそうや。裏切れへんな。気まぐれやけど」
「動物は正直や。よう知っとる」
「うん」
「人間は裏切るけど、動物は裏切れへん」
また、言うた。「うん、うん」
「動物の本能というか、動物的な勘があるからな」
彼は昔、小企業の社長をやっていた時(倒産)のことか、これまでの対人関係の体験からか、相当つらい目にあったようだ。彼はもうこの言葉を何回も繰り返した。
「動物は人を裏切れへん」
愛犬マリちゃんがぼくとこへ抱きつくようにやって来て、ぼくの顔をペロペロなめた。
「犬は人を裏切れへん」
「うん、うん、うん」