スリジャンさんの話  

「ほとんどの家は、洗濯機なんてものはありません」
「病院へ行くのに1週間かかる村もあります。クルマが通る道がないのですから」
識字率は全体で55%です。カトマンズやポカラ等は引き上げていますが、村に行くと30%ぐらいのところもあるのです」
「今、ネパールは日本で言うと、明治時代ぐらいでしょうか」
スリジャンさんは、流暢な日本語で語る。日本語学校で習い、後は独学だそうだ。ネパールで先生をやっているとのこと。


今日は仕事帰りに岸本康弘さん宅へ寄ると、ネパール人のスリジャンさんが来ていて、ネパールの話をしてくれた。
そのようなネパール人の暮らしのなかで、国の予算において軍隊が15%程をしめているそうだ。「教育費は5%程なのです」と、ちょっと怒ったような目でスリジャンさんは言った。識字率も低いはずである。それにしても、まだこんな国があるとは想像してもみなかった。
「王様が政権を国民に委譲しました。それで今度、憲法づくりをするのに、500人が選挙で選ばれます。選挙は、字が読めない人がいるので、絵が描いてあるのにマルをします。・・・・・」自衛隊が行くとかという話もこの選挙の際の正常運営や治安維持に関係あるという。
う〜ん、ネパールの民主的な国づくりもこれからなんだな。「いまネパールにとっては大切な時なんですね」


それから、ネパールの子どもの話や日本の学校の話になった。素朴なネパールの子どもたちの純真な目の輝き、それに比べて日本の子どもの大人ぶった耀きの薄れた目。心を病んでいく教師の増加・・・・・。ぼくは、「日本の『カネ』や『モノ』と、ネパールの『ココロ』を交換しあったらいいと思います。特に、療養している心を病んだ日本の教師がネパールに行って純朴な子どもに接すると回復するのでは」等と言うと、スリジャンさんは、うんうんと大きく合図地を打った。


今宵は、有意義な話ができた。岸本康弘さんは、スリジャンさんと明明後日、150人の子どもたちが待っているネパールの学校に戻る。




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言葉の展覧会89


     「闇」


てさぐりしてもわからない
みえないけれどかんじる
得体の知れない懐かしいもの


闇をみつめる
闇を見据える


闇という意識
人類はいつから


闇への畏れ
闇とのたたかい


闇を走り抜ける
闇の中を歩く


やがて
闇にもどる