『帰ってきたツバキ』 No.3576

「ツバキがいたよ」
と、近所のテルミさんが朝来て言うた。
「えっ、どこに!?」
ぼくはびっくりして問うた。
「学校よ。小学校と中学校に」
子どもたちがツバキを飼っているの、と嬉しそうにテルミさんは言う。

 

2カ月前に居なくなったツバキがいた。

 

こんな朗報を聞いて、早速、近くにある西谷小学校を伺った。小学校の校長先生が、
「いますよ。さがして来ます」
すぐ、引き受けてくださった。

しばらくして、
「いました、いました。中学校の保健室に」
小学校と併設している隣りの中学校校舎へ一緒に行ってみると、保健室前でたくさんの子どもたちがツバキをとりかこんでいて、一人の生徒がツバキを抱いてぼくの所へ持ってきてくれた。まぎれもなく、ツバキだ。

ひさしぶり、ツバキ!! 学校で、子どもたちや先生方に可愛がられていたんだね。名前も付けられていた。小学校では、「ロロ」。中学校では、「パンダ」。

「みなさん、家が東部にありますので、ロロとパンダにまた会いに来てください。ありがとうございました」
学校のみんなに見送られて、ツバキはわが家に帰ってきた。

 

クルマから降ろすと、さっそくツムギがやって来てスリスリ。ああ、また姉妹の仲が戻ったとおもいきや、匂いをかいだりすり寄ろうとするツムギに、ツバキは、
フーーと威嚇した。

 

でも、二日経った今では、ふたりは仲良く寄り添っている。