「風に誘われて」 言葉の展覧会530

窓を開けると
そよっと爽やかな風が入ってきて私の頬を撫でる
風通しが少しよくなったようだ
窓外は未だ不安だらけではあるが
心地よい風が戻ってきている
風は何かを伝えに来たのだろうか
それとも 誘いに・・・・・・


いつまでも馬鹿ではいられない
過ぎ去りし熱狂と現実への逃避
壊れから立ち直ってつくり直し
存在のチャンネルをカチカチッと変えて
痴から知へそして智へ


それでも今尚創作された嘘が大手を振っている
偽をつくるものが偽に欺される
そり出す暴力
場所を占める不安や予感
抽象が具象に変わって


どこにも救済はない
現実に対する隠蔽はいつまで続くのか
もうとっくに最後の隠蔽が終わったというのに
何にでも変転してしまうのだ
表が裏になり裏が表になる
美が醜に反転するように
不可解が罷り通り偽記憶が走っている
繰り返される反復


鈍化する終わりのなかで
同質的な他者たちが寄り添う内輪空間から
憎悪を斥力として
敵対する他者に近付こうと
不可能のなかで繋がりを求めて


窓に入ってくる心地よい風に誘われて
ちょっと新鮮な空気を吸ってみませんか