『ふいっと 少女へ生成する』 No.3517

まだ未明
暗がりの中でホトトギスが鳴いている

 

ようやくしんわりと光がわたしを包んできた
カーテンの隙間から漏れ来る細い線光は
影をくぐり わたしをやさしくぐるぐる巻いてゆく
自由であるから自由に逃げて

 

剥がれかけた元素周期表
いったい私を構成する元素はどこを漂っているのだろう
この宇宙の大海の

 

いつも「わたし」へ向かう
布団に押し付けられた私の髪はべっとり湿っている
部屋の内も外も梅雨
いいえ 潤っているの 大地の湿り気をいただいて
そう想いたいばかりに わたしは部屋の宙をみながら
起き上がって髪をすく

 

初夏の朝、ふいっと 少女に生成する