まだ未明
暗がりの中でホトトギスが鳴いている
ようやくしんわりと光がわたしを包んできた
カーテンの隙間から漏れ来る細い線光は
影をくぐり わたしをやさしくぐるぐる巻いてゆく
自由であるから自由に逃げて
剥がれかけた元素周期表
いったい私を構成する元素はどこを漂っているのだろう
この宇宙の大海の
いつも「わたし」へ向かう
布団に押し付けられた私の髪はべっとり湿っている
部屋の内も外も梅雨
いいえ 潤っているの 大地の湿り気をいただいて
そう想いたいばかりに わたしは部屋の宙をみながら
起き上がって髪をすく
初夏の朝、ふいっと 少女に生成する
・
・
・