「ともに立つ」  言葉の展覧会63

段ボールの家は底冷えがして
何度も目が覚める
身体が震えている 腰痛が走る
この寒さと痛みが俺の全存在だ
ああもうすぐ夜が明ける
今日の食事はどうしようか


相手の立場に立つという傲慢さ
もっと怖い大上段に立った施しや強制
よい子の神父はもう止めよう
背広やシャツを捨てジャンパー姿で街へ
古びた木造二階建てアパートの二畳の部屋
銀マットを床に敷き寝袋で寝る


「髪がぼさぼさでは雇ってもらえへんで」
「わたしは丸坊主や」
『サンパツして仕事にそなえよう!』という張り紙
毎週4回、野宿者に無料散髪
切り捨てられ貧しく小さくされた人々
耳を傾け痛みを分け合いながら
釜ヶ崎という場に息づいて18年
ともに立つ


(神父・本田哲朗さんをおもう 〜「神戸新聞」を読んで〜)