『誰かの声』*No.2073

誰かが話しかけてきたような気が
後ろだったか
空の方からだったか
「どこから来たの?」
えっ
確か聞こえたような
見渡しても 誰もいない
空耳かしら


「あなたはこれから どこへ行くの?」
ああ、やっぱり誰かが私に訊いている
だれだろう いったい
声だけははっきりしていたが
山の向こうに行ってしまったような
あれは50年前だった
あの誰かの問いかけは
今も私の耳にこびりついたまま