『ささやかな願い』 * No.3353

あばらやの 屋根のあたりに
朝がいる


もうすぐぼくは久々の朝陽をみるだろう
空がどんよりして こまかい雨がそぼついている
ぼくは手をかざして 朝の空にむかう
雨よ、雨 今日は降るのはやめておくれ
山は笑っている
こがねの田んぼもげらげらと声をあげる
どこかからカラスが、アホウ、アホウ と歌い出した
それでもぼくは
雨空へ手をかざす


この里はおだやかに落ち着いている
やがて不可能性が流されてゆく