『暖!』 * No.3196

暖!

 西谷は寒い。北の国ほどではないが、同じ宝塚市でも3℃〜5℃違って低い。よって夏場は涼しく感じて過ごしやすい。ところが冬は宝塚南部で雨が降っていても、北部の西谷では雪だ。11月より霜が降り、辺り一面がうっすらと白化粧し出す。皇帝ダリア等は、蕾から今にも花を咲かせようとしているのに、その霜にやられて、その美しさを見せられない年もある。去年もこの辺り(大原野)はそうだった(西谷は宝塚の三分の二程の面積があって南北に伸びているので、同じ西谷でも切畑のように花を咲かせる所もあるが)。


 寒いだけでなく、朝晩と日中(昼間)の寒暖の差がはげしい。
だから西谷に育つ黒豆など野菜は、寒さを乗り越えようと、身(実)を引き締め、糖度を増し美味しいのだ。

 西谷の冬は、だからだからこそ、暖が嬉しい。
この頃は自然の恵みからいただく、かつてあった薪ストーブや釜などが復活しつつある。その良さが分かる人が増えてきたせいもある。

 
 燃える炎を見火に触れて、人は本能的に生き物としての本源的なものに戻る。自然に戻り、いのちに触れる。自分を取り戻す。
また、暖を囲んで太古の時代ににそうだったように、サルがヒトになっていった時のように、家族たちは住民たちは人々は絆を深め合う。釜、薪ストーブ、たき火、とんど、・・・・・。
 暖をつくるには、少し手間や時間がかかるが、それが楽しい。生命(血)が通い、生き物としての自分を実感し、人間としての自分を回復する。今で言う、「癒し」や「セラピー」だ。
 暖は、癒しやセラピーだけでなく、つながりや交流、そしてより一層の結びつきや絆を深める。薪ストーブや釜は家族や客人をあたためる。西谷地域の「とんど」に集う人たちの顔はみな和やかでやさしい。


火を見、炎をながめる
自然に気づき、自然を取り戻し
野生に目覚める
自然の中の大切なものを
みつめる


釜、薪ストーブ、たき火、とんど、・・・・・
暖のもとで
私たち人間の本源的なものを回復し
家族や住人、人々は絆を深め
楽しみ
こころをあたためる