『どんよりした新しい風』 * No.3392


閉じられた窓がギリギリと開いて
ほんの少し新しい風が入ってきた
しかし内は未だどんよりとよどんだまま
荒々しい流れがあれば流されてしまいそう
逆流や渦巻があれば呑み込まれてしまう



ぼろぼろな体はもう歴史的な限界がきている
小さな物語同士のせめぎ合いと
物語そのものの消滅への道
いさぎよく決断して排他性を持ったってどうにもならないのに
相容れないものの隠蔽 低下するくに
誰にも知られず隅っこにころがっている絶望感
の共有 ・・・伝染するんですよね
やがて無くなっていきますけど・・・



あれかこれか
これかあれか
あれでもないこれでもない
けっきょくかれがなってもたいして変わりはしなかった
バカなあたしは気づき始めたんだよ
かれを変えるだけでは何もよくならないことを
新しい風が入っても全くさわやかにならないことを
うすうす気づき始めたんだよ
それだけで儲けものさ



だったら
負わなければならないんだよあたしやあんたが
自己責任でない責任を
孤独さがしってひでぇものよ 
こうを引き受けて實存は語れるものなの
欲を抑えて豊かさは得られるものなの 
豊かさって いま誰もが潤いがあって幸せであることなんだよ



無縁の世の中で単身ばかりがうようよ増えて
消された気配の中で
所在不明の孤独死が続いている
あたしの体にも原因不明のけいれんが起こる
少しずつ良くなってきたか悪くなってきたか
まだ新しい風はどんよりしている



ひとは生きて死んで 死んで生きて
予測されない危機のなかで
じんを忘却する
足引っ張りを止め強者回帰に抗い
ちょっと相容れないものに近づいてみませんか
生き恥をさらしながら
地という球の上で太陽フレアを想って
不格好に語り続けることですね




(2010.8)少しの文だけ改変