『樹海におぼれて』 * No.3265

どんよりした梅雨空
もうすでに失われてしまっている森
不意に訪れる途上の不安
カフカの迷宮に彷徨う
まだ見ぬ悪夢のように
自分のこころがすっきりしない
また嫌悪すべき新芽が出てしまって


移ろう
なにもかも 待つ時間のじれったさ
ゴドーは現れないのに
急がない
急がない
見えない緑の 木々の間をうろうろ歩く
やがて いつかちいさな光が射し込んでくるのを
待っている
葉はそれをふるえながら待っている
森はそれをわらいながら待っている