『「にしたによいしょ」12月号』*No.2808

若いのう
ええのう

若い人たちのエネルギーは、
明日への力です。活気、むんむ
んと、勢いがあります。この十
月の大原野の秋祭りにおいて、
それがはっきり見せつけられま
した。かつて「西谷青年団」(ま
た特集を組みます)があった西
谷は、こういった若いエネルギ
ーが満ち満ちていました。

でも、今は・・・

 ところが、ところがです。こ
こ数十年のうちに、モノ(やカ
ネ?)の豊かさと引き換えに、
田舎西谷も随分変貌しました。
現状は、この冬二月の「西谷の
『農』を語り合おう会」で出さ
れていたように、若い人たち
どんどん西谷を離れ、今や高齢
者がほとんどの西谷になりつつ
あります。「後一〇年したら・・
・いや今、目の前に迫る問題」
として、「高齢化、人口減で耕
作放棄地が増え、田畑が荒れて
いく」と、お先は暗いものです。
二月号で南豊さんが、こう言っ
ておられます。この言葉は今後
ますます必要とされるとおもい
ますので、そのまま載せます。
 「三つめは、深刻な問題です。
若い人は西谷から離れて行き、
農業をやる人はどんどん減って
います。なぜでしょうか。西谷
で農業をすることに魅力がなく
(そういうふうに育てられず)、
収入も得られないといったこと
が原因の一つとしてあげられま
す。また、上記二つのことがで
きていないというのも原因する
でしょう。これでは西谷の農業
の未来は暗いとしかいいようが
ありません。 
 私は、今がんばっておられる
じいちゃん・ばあちゃん農業か
ら脱して、若い力を発揮できる
環境をつくるのが、今の私たち
の世代の役割だと思っています。
 いま我々は、この三つの方向
を目指し、道をつけることが大
切な課題です。これが私の責務
とおもい、がんばっています。」
 西谷の未来の新しい「農」を
考え、その突破口のひとつとし
て「若い農」のカタチを志向す
る場合、この南さんの言葉が今
の西谷の農の現状であり、進む
べき方向であることをまず認識
することが大切です。
これからは

あと十年経てばどうなってい
るのでしょうか? と問い、嘆く
よりも、これからはこうしたい、
具体的にこうしよう、という話
にそろそろ切り替えていかなけ
ればいけないと思います。
一年以上もかけて話された「西
谷のこれからに向けて」(アンケ
ート報告)において、これから
西谷の「農」のカタチを明確に
示されることを切に望むわけで
すが、とりあえず「新規就農の
取入れ」で若い方たちの「農」
への参入が喫緊の課題です。高
齢者が愚痴をこぼすだけではな
んら展望が拓けません。やはり
若い人の考え・アイディアや行
動が必要です。
 若い農を本気で考え、受け入
れ、志向することは今こそ必要
なのだと思います。

若さを支え、
    未来へつなぐ

 さて、これからの西谷の「農」
を展望していくうえで、考えた
心得や方法、具体策です。 い
ま農業を営んでおられる方がわ
が利だけでなく、この地域の十
年先を案じたり、願ったりして
策を練っておられることは重々
承知です。 だからこそまず、
就農や移住を希望する若い人を
様々な話や体験を通して快く受
け入れることです。そして老い
も若きも共に何年も先を見据え
携わって、西谷の農を育ててい
くことです。本当に地域のこと
を考えておられる方が中心になっ
て(もうすでにあるかもしれま
せんが)、それを自治会や農会、
JA等が支えていく。こういう
構図や協働を明確に打ち出すこ
とだと思います。具体的には、
例えば県が推奨する「農地バン
ク」等公的な制度を有効に利用
して、若い人たちに引き継いで
もらうのです。地元の経験者や
機関は、受け入れた若い人たち
を指導し育てていくことも必要
になるでしょう。
これが老若ともに手を取り合っ
て「西谷の農」をつくっていく
ことになります。理想的なこと
かもしれませんが、西谷はそん
な地域(共同体)でありたいも
のです。
 
農は未来である

最後に、未来のこと、「農」の
ことです。ほんの近い将来(二
〇三〇年頃には、AIによるIo
T 、ロボット、3Dプリンター、
ドローン等による第四次産業
命が起こる爆発的な分岐点とな
るだろうと予測されています。
それが進めば今やっている私た
ち人の仕事は九割がた無くなる
だろうとも言われています)、人
間が人間として本当に大切なも
のに戻っていくと想います。
その現象が一月号(「今、いなか
が新しい」)に示しましたように
起こりつつあります。もうすでに、
カネや効率、競争、格差等が中
心の資本主義の行き詰まりが言
われだしてきました。そしてい
ち早くそれを感受性の豊かな若
い人たちが気づきはじめ農に関
心を持ちはじめたのです。
 農は未来なのです。現在の閉
塞的な状況を破り、希望を見出
すのは農です。今こそ農業に携
わるものたちが未来を見据えて
農を捉えなおし、この西谷にこ
そ明るい未来を展望しなければ
とつくづく考えています。 若い農、
ええ農と言い合いたいものです。