『ありし日の師走』*No.2807

aiueokaki2016-12-02

ありし日の
師走


捨てられていたお皿が
雨に打たれていた
ひび割れて
いたいたしそうに


かつて
それは愉しい日々だった
なにもかも
ウキウキと
なにをするにも
こころときめいて
わたしにふれて
わたしにのせて
すっかりなくして
きれいにあらってもらった
喜びの日々


もうあの日は戻ってこない
冷たい雨だけが
降りしきる
師走


容赦の無い時の中で
捨てられていたお皿が
割れた
こなごなに
何もかも 粉々に
そこにあった形跡すら
記憶すら 残さずに
すべてが消え去った


でも 確かにあった
在りし日の
師走