『西谷でつくる』言葉の展覧会1759

西谷でつくる
「西谷は宝塚の3分の2の大きさ(面積)なんやなあ」「それだけあるんやったら、何かできるんちがいますか」「まぁ、山ばっかりやけど」
 ここ数年、一日置きぐらいに売布と西谷を往ったり来たりしている。4月に脳梗塞で老母が倒れてからは西谷に居る比重が増してきた。この地で生まれ育ったぼくにとっては、緑、緑、また緑の西谷は母の胎内に戻ったようでホッとするところだ。また山ばっかりに囲まれた所で畑をつくって食べるのが楽しくなりかけているところでもある。でも何回も草を刈ったり、地域の会や催しに出たりしなければならないので他の用事と重なるときはちょっと重荷にもなるときがある。でもでも、同級生や近所の人等馴染みの顔との付き合いがより親密になってきたり、面白い人に出会ったりするので嬉しいことの方が増えている。
 西谷で半分以上住むようになると、やはりぼくに似たような人たちがいることがわかってきた。藝術的なものに関わっている人たちだ。画家、版画家、ちぎり絵作家、陶芸家、写真家、彫刻家、ステンドグラス作家、園芸家等々藝術的創作をやっている人が西谷にもいたのだ。それから音楽関係では、ジャズやハワイアンバンド等をやっている人が。類は友を呼ぶ、で、いつしか出会い、交流し、次第につながっていった。西谷で何かができる。そしてとうとう2年前にできたのが、アートグループ「西谷でつくる会」である。活動は主にグループ展や個展であり、西谷夢プラザで月一で催すようになり、今ではすっかり定着するようになった。また夢プラザだけでなく、ダリアの産地である上佐曽利の売店ギャラリーでも「ダリア展」や「ダリア館展」(目下、開催中)をやるようにもなったし、西谷収穫祭で作品販売をしたりするようにもなり活動範囲が増えつつある。
 「ふるさとの 萌え出ずる草木に けぶる山 色鮮やかな花々に 長閑な田畑 そして碧く碧く澄みわたった空  西谷で感じて 西谷でつくる」。一番最初のチラシにこんなことを書いた。西谷という山ばっかり、いや緑に囲まれた中で、いろんなもの・ことをつくる(創造する)のである。また、歴史のなかで廃れ忘れられていったものを呼び起こし、再生する。そして、.つくりながら、つながりながら、観ながら感じて考えて、心が潤い、豊かになる。これは、密かに抱いているぼくだけの「西谷でつくる」コンセプトである。西谷で作品をつくる。面白いものをつくる。よりよくするためにつくる。
  一昨年と昨年の秋に、宝塚の中心市街地にある宝塚文化創造館を中心に現代美術展をアート仲間とともに開催して来た(そして今年もする予定です)。その去年のスローガンは、「アートで宝塚をおもしろく」。この西谷でも同じことを言いたい。「アートで西谷をおもしろく!!」 
 とにかく実に楽しいグループである。会えば、わいわいと好きな美術関係の話をする。それにこれからの催しをどのようにしていこうか、どこの展覧会に見に行こうかとか、どの作家に会いにいこうかとか、どんなのを作りたいか等々年配が多いにもかかわらずたいへん前向きで、未来があり、みんなの目が輝いている。
 いつもぼくがこのエッセーを書くときは広報のようにしたいと決めている。だからここでも広告します。この2月に、西谷ふれあい夢プラザ・蔵ギャラリーでぼくの個展を致します。テーマは、西谷。タイトルは「『西谷と』展」(2月26日〜3月2日)です。これを読まれたみなさん、どうぞ見に来てください。