『どくろ』言葉の展覧会1131
暗い海底に沈んで
ゆらゆらゆれている
行方不明の
どくろ
少し前までのことを
おぼろげに覚えている
かなしいどくろ
大きな揺れの後
私は海に浚われ
余分な肉や内臓は
魚や鳥や微生物に食べられた
どくろ
生きていた頃の
私の名前は思い出せません
そんなものはもうどうでもいいのかもしれません
うつろう時 うつろう命
うつろなどくろ なかはすっからかん
なにもかも洗われて
すっかりきれいになった
どくろ
魚の住み処になった
どくろ
ひろいひろい海の底で
純真無垢な夢にたゆたい
やすらかに眠る
どくろ
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