『小舟』 言葉の展覧会1004

aiueokaki2011-01-05

見捨てられた饒舌な「失語」
それゆえ馴れ馴れしくそばに寄ってきた詩
言葉は幸せだ 親しさをこめ声を出して
「消費」に翻弄されながら
近くに泳いでいる「断片」を捕まえ
語る「物語」は遠く離れて「応答」なし
あらゆる情報を吸引して吐き捨てる
「データベース」のみが膨れあがり
やがて怪物の君臨 そのお腹のなかで
手名付けやすい「私」竹篦返しする「私」
さまざまな「私物語」の洪水   
記号が流れ画像が流れ音声が流れ
海にドドドーーーッと入っていった
泥水に掻き回され世界は狂気の荒れ



しかししばらくするとたっぷり海水を貯めて
また元の穏やかな波に戻っていった
ただ溢れ飽和した海のなかで
たったひとつポツンと
残されたのは言葉を喪失して漂う小舟
からりと晴れ渡った空の下で
波がチャプンチャプン



※現代詩を書いたり読んだりしている人工は、この国では何百か多くて何千人ぐらいだろう、というのを聞いた。まあ、おそらくそんなものでしょう。だから面白いんです。だからこそぼくは、毎日詩を書くように努めているのです。荒っぽく拙いながらも。
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