『ひとりよがり』 言葉の展覧会962
あっつあっつのごぼうとしいたけの炊き込みご飯に
ゆずと赤い石榴の実を入れた千枚漬けとサケ、ゆで卵を食べ
昨夜のサケの酒粕鍋でつくった味噌汁をすする
妻を送って行ってからおいらは風呂の水を引いて洗濯機を回す
ひとりよがりが頭から離れない
ひとりよがりの女と
ひとりよがりの男
女はひとりよがりの会社に出かけ
男はひとりよがりのメディアを見る
ひとりよがりの国がひとりよがりの武力を行使して人が殺された
ひとりよがりがおいらのなかに入ってきた
細胞が悲鳴をあげだす
ヒトリヨガリーー!!
洗濯物は乾くだろうか
晴れだと天気予報は言っていたのに今にも雨が降りそうな曇り
空からこだまが返ってきた
ヒトリヨガリーー!!
ああもう、ひとりよがりの虜だ
足掻くひとりよがりに足掻く
ドンドンドンドントントントントン
おいらはひとりよがりの時代を少しずつ壊すために
部屋へ行ってひとりよがりにパソコンのキーを打った
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