『理不尽』 言葉の展覧会963
その男は銃を持って
玄関前に仁王立ちになっていた
ついにやって来た この日が
先送りばかりしていたけれど
まさか
私を撃とうとしているのだろうか
おそらく・・・
私は慌ててドアを閉め鍵をかけて言う
何か用ですか
何か
男は何も答えず 突っ立っている 気 配
するとドアの向こうで低い声が聞こえた
話している
もう一人来たようだ
ガチャリガチャリとドアの鍵を開けようとする音がした
私は青ざめて家の奥へ逃げようとした
が、足が震えて前に進めない
助けてー
と叫ぼうとしたが喉が詰まって声が出ない
ドン ドン
ドアをたたく音が聞こえてきた
と
しばらく沈黙が続いてから
もの凄い銃声の音がした
私はへたり込んで
ハーハー息をしている
世界は真っ白になった
私の息だけが大きく響く
ドアが破られ
ガタンと
理 不 尽 に
開い た
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