お通夜  寺田操さんと

aiueokaki2007-01-28

田舎から帰ってくると、大急ぎで喪服に着替え、自転車に乗って葬式場へ行った。
「ああ、遅刻だ」
20分遅れだ。遅れてスミマセン、と受付で走り書きで記帳した。そして、急ぎ足で式場へ入った。が、まだ始まっていない。ん?・・・・。側の方に聞いてみると、7時から、とのこと。ええっ、6時からと連れ合いから電話で聞いたのに・・・。黒縁の写真見てみると、亡くなられた杉山さんの奥さんは実に若い時の写真だ。んんん???・・・・・・・・・・・・
間違っていたのだ。実は、今晩は2けん入っていて、杉山平一さんの奥さんのお葬式は隣りの部屋だったのだ。スミマセン、スミマセン。これは笑い話にもならない。ああー、サイテーだ。
式場に入ってみると、もう終わりかけていて、一番最後にご焼香をした。写真を見ると、あの日の杉山さんの奥さんが蘇ってきた。・・・・・・・・
いろいろとお世話になりました。合掌。


もう92歳になられる杉山平一さんもかなり弱っておられた。声をかけてお悔やみをした。これまで奥さんと二人でとても仲良く寄り添っておられたのに、・・・・これからどうされるのだろう・・・・・。
つい最近、思潮社から近代詩人として、詩集(現代詩文庫1048『杉山平一詩集』)が出たところである。


    自分は目を閉じる
    真っ暗なその神の黒板を前にして
    自分はその熱心な生徒でありたい
    何ごとも識り分けること尠く
    生きることに対し
    またも自分は質問の手をあげる


杉山平一さん、奥さんが亡くなられてもめげずに、これからも元気で詩を書いてください。

    ***
お通夜が終わってから、寺田操さんと二人でお茶を飲んだ。2年ぶりぐらいに会ったが、相変わらず元気だった(物忘れがひどくなったそうだが)。今も『関西文学』の編集に、雑誌掲載のエッセイに、金子みすゞ尾崎翠の研究に忙しいとのこと。また、「いま詩は通読的なものしか書けない。納得できるものが書けないので、パソコンの中で眠り姫状態」。そして「前詩集のレベル以上のものが書けない、異った世界が出来ていないので詩集は出せない」との話。
寺田さん、次の詩集をぼくは待ち望んでいますよ。ゆっくりと熟成させて出してください。

寺田操さんの最近の本→http://www.junkudo.co.jp/view2.jsp?VIEW=author&ARGS=%8E%9B%93c%81%40%91%80



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言葉の展覧会71



カツゥーンと
道端の小石を蹴ってみると
石は空に吸い取られていきました
残るのは常しえに
青い空ばかり
ところがこれは紙の上
ページをパラリとめくります


ぼくの人生
同じようにカツゥーンと
蹴ったらば
みるみる吸い取られていきました
何に 何にでしょう
それがわからないのでいつまでも
ぼくはさがし続けているのです
ところがこれも紙の上
ページをパラリとめくります


次のページは
おどろいたことに
まっしろけのけー
まっしろけーのけー


そして次のページには
「自問自答」


どう生きるのかは
問題を問うことの中から見えてくる