「マネシンのマネシン展」

aiueokaki2006-03-05

3月のメタモルフォーゼは「マネシンのマネシン展」です。マネシンは堀尾貞治氏独自の発想で、これについては皆さんよくご存知のことと思います。今回はこのマネシンをまねて我々もやってみようという企画です。「マネシン」の魅力は「真似ること」は単なる絵を描く動機付けに過ぎず、真似しようとしても決して出来ない、どうしても自分の作品になってしまうところにある、と私は考えています。つまりオリジナルと差異が生じてしまうことを承知でやる、あるいは確信犯的に差異を生じさせてしまう、その辺が面白いのだと思います。堀尾貞治氏の「マネシン」と違った味のある「マネシン」に挑戦してみてください。


と言うことで坂出さんからメールがあったので、ぼくもグループ展に参加することにした。
展示場のバー「メタモルフォーゼ」は小さな空間なので小作品をつくらなければならない。考えた末ぼくは、ムンク「叫び」のマネシンをすることにした。タイトルは『ガラスボックスの中の不安』。これはパロディ作品でもある。


今、世には「不安」があちこちに蔓延っている。その「不安」を上手く利用した商売(セキュリティ産業など)も成り立っているし、いまの政治家などは「不安」を利用するだけでなく、「不安」を醸成し、煽っている(今日の政治は「不安」をベースにした政治だと言っていいくらいだ)。そんな「不安」の中で強い言葉やワンフレーズの潔い言葉は心地よく耳に響きなぎいてしまう。かつてヒトラーが「不安」を上手く利用してファシズムに走って悲惨な結果をもたらしたことを想起してしまう。今日の日本の状況もそのようなヒトラー台頭の時代の空気に満ちてきている。そうならないためにも、「不安」をどこかに閉じこめなければいけない。ぼくはムンク「叫び」にシンボル化した「不安」を黒く塗ったガラスケースの中に封じ込めた。それを外(外部)から眺めよう。


と、まぁ、こんな意図のもとにつくって「メタモルフォーゼ」のカウンターの片隅に展示している。写真写りがもう一つだ。