単騎、千里を走る。

aiueokaki2006-02-03

今日は仕事を6時半に終えて帰ってきた。金曜日である。ご無沙汰しているメタモルに行こうと思っていたが、奥方が「節分の豆を買ってきて」と言ったので取りやめにした。外は寒く雪がチラチラと舞っていたせいもある。
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久しぶりに映画を見た。半年ぶりぐらいになるだろうか。歩いて数分の所に映画館(ピピアメフ〜宝塚)があるのにもったいない話だ。20:40からのレイトショー。映画は「単騎、千里を走る。」(チャン・イーモウ監督)。主演は、高倉健だ。ポスターを見て、あっこれは見よう、と思った。
涙腺が緩んでいるので、涙涙の連続だった。高倉健も凄かったし、かれを選んだチャン・イーモウ監督も凄いとおもった。自分の頑なな心から生じた息子へのわだかまり。父子の断絶。そして息子の命が後わずかしかない知ったことの悲しみと苦しみ。そこからなんとか恢復しようと願った命がけの父の行動には、二人の息子を持つぼくも痛く身につまされる。
息子のやり残した仕事を成し遂げようと中国へ行くなかで、だんだんと凝り固まっていた蟠りが溶けていく。わかり得ない言葉。わかり得ない人たち。その過程を乗り越えて、ゆっくりとした時間が流れ、まごころが立ち現れてくる。高倉健扮する実直、誠実な男。その表情の襞に至るまでの繊細な描写。(老いている高倉健は益々格好いい。)また一人の人間をこれほどまでに大切にしているのかと思える中国の村人たちのあたたかさが映像を通して伝わってくる。ここには「日本」とか「中国」とか、そんな国の境界は消失している。困難をのり超えての人と人との熱い出会いとつきあいがあるだけだ。
わかり得ない人たちは、分かり合う人たちに変わる。父と息子、そして日本と中国。その隙間を埋めるのは抽象的な論ではなく、極めて具体的な直のまごころからのつきあいからだ。映画はその橋渡しの一端を担う。映画の力は大きい。もっともっとこのような交流、友情映画、いや国を超えての映画作りが生まれてほしい。
いい映画だった。