蟻よ

より強くなるのは

崩れていっている証拠ですよ

蟻があちこちに出かける

行き止まりの石ころが笑う

草林で植物の価値観が肯定する

あるいは穴

太陽の秒針がまさに止まる瞬間

うつぶせになったままの

夢

なんて

ない

ない

死にたい蟻

遠いとおい草原の喜びの歌

風の歌はまた別の物語

あれはぐるぐる回ったり

またもとにもどったり

あらたな理由をさがして

改な

新たな

すりきれてきたな

すでに行きついてしまったのさ

優雅に肥大するたなとす

なぜ蟻が蟻を殺してはいけないんです

わかる蟻はいませんか

わかる蟻は

確かに崩れていっている

死へのプログラム

クレーターの孤独

髑髏の眼窩が鈍く光る

デフォルメした遠近法でみる

どこが歪んでしまったのか

歪みをみることだ　歪んだ目で

とにかく明るいんだ暗過ぎて

蟻に暗部を　暗部を　暗部を！

ああやってけない

もうすでに崩れているのに

まだ虜になっている私

蟻という幻想

ひらひらに乾いた土

みっともないにひりずむ

どこかに甘い汁はありませんか

あの高い腐った所に

いつも物事は裂け目から起こる

蟻はただ歩いている

あぶないよ　前は裂け目だ

深刻な問題はもうすでに終わってしまった

何一つ終わっていないというのに

先送りばかりして

　　　　「蟻よ」
http://www.jttk.zaq.ne.jp/baatp100/poem/ariyo/ariyo3.html