『ネコとの仲』 No.3691

このごろ朝方、ネコがいつものように
屋根からやってきて
ぼくの寝ている二階の部屋を知っていて
とても高く可愛い声で
ミュアーン
となく

 

ぼくは知らんふり
ネコは窓の戸をガリガリして鳴き続ける
ミューン ミュアオーン
ぼくは入れない

 

ミューンミューン
ミュアーン
まだ鳴き続けている

 

「さあ、はいっといで ツバキ」

 

今日はツバキ 
昨日はツムギだった

 

 

 

 

 

 

 

『ここが居場所 萩』 No.3690

ひとっこひとりいない山路
すみっこに

ひよわに はじらうように
咲いている

 

だいじょうぶだよ
ここが居場所
里山

 

巷はあちらもこちらも
嘘っぱちのごうまんな盗人ばかり
そばを通るとひっつき虫でズボンも
シャツも手袋も台無しだ

 

人里離れた里山
ひっそりと
暮らしている
昔ながらの萩

 

どことなくさびしげに
咲く花が なぜか美しい

 

 

 

 

 

 

 

『ゆれるコスモス』 No.3689

ゆれる
ゆれている
秋の風に

 

青空のもと
大地へ愛をそそいで
自分のために
自分にかたりかけ
ゆれている

しんけんに けんめいに 大地にへばりつき
ゆれている
コスモス

 

秋につつまれて
たった一りん

 

多くの一りんが

 

幸せそうに
ゆれている


    ***************

 

『秋のある一日駄句』 No.3687

 

快晴の秋
はずむアートの話
ハイ、ここでパチリ

 

       *
六甲山のアート巡りおもむくまま

 

       *
楽しい秋の一日をプレゼントしてくれた
アートフレンドと六甲ミーツアート満喫
クライマックスは温泉と満月おいしい餃子

 

       *
身も心も
ほぐれる秋
茶色き湯

 

       *
アート堪能ゆったりホカホカ有馬温泉


 

     ***************

 

『中秋の月』 No.3686

 

刈り残したススキの上に中秋の月

 

     *

薄闇の宇宙に
ひとつ
パッと煌めく
中秋の

 

     *
この地球あの月もちつもたれつ輝いている

 

 

 

 

 

 

 

 

『10月はかなしみの国』 No.3675

この秋に 立ち往生して
あ~あと 深いため息をつく
わたしたちはたいへんな過ちをしているのではあるまいか

 

遠いさきにみえる廃墟 聴こえるよわよわしい歌
いまは壁の向こうから内輪だけの賑やかな声が

            途切れ途切れに聞こえてくる
細胞に流れ込む宇宙

 

寛容の免疫はあるのだろうか
わたしのためにたたかってくれている
ミクロの世界の天使たち

 

なぜに いま ここ に
わたしは在るのだろう
ことばの奥にしまわれたたいせつなもの

 

だいじにだいじにむねにしまおう
かなしみに気づくときまで
萎えたこころを少しあげて 
また 歩み出す

 

わたしは歩みつづけられるだろう
か 
はてるまで
宇宙の風がわたしのほほをやさしくなぜる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『天上大風』 No.3684

天の上には大きなおおきな風が吹いています
流れるんです 時が
流れます いのちが

 

相変わらず俗世は混乱しています
あの人はもういません
いないんです
もう
けれど
秋の夜はやってきて
お月さまが妙に明るく煌めいています

 

流れる時
流れる命

 

だから地上のぼくらにも天上の風は
僅かばかり さりげなく やって来ます
生きる喜びを乗せて

 

目を瞑って
風を
感じてごらん
ほら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『魔が刺す』 No.3683

ある日 フッと
魔が刺したんです

 

こうして人となんやかやあることに
こうして動き回ってあれやこれやしていることに

 

なんでオレ、こんなことしてるんだろう
ワタシ、何やってんだろう いったい

 

生きることは面倒やな
生なんてどうでもいいんです

 

エエイ! 死んじゃえ

 

てなふうに、ある日ある時
突然
魔が刺して 自分のいのちを断とうと
・・・・・

 

そ、そんなとき、どうするか
です
死なないで生きて! って
生きる方策 処方箋です

 

 

ぼくの場合
魔が刺すのは軽度だから
そんなとき
酒をグイッグイッと飲むか
読書して先人の乗り越え方や心を教えてもらうか
友人と人生について語り合うか
あるいは 外に出て
可憐に一生懸命咲いている野の花や
ゆらりゆらと風になびく草木や
青空にぽっかり浮かぶ雲を
ただぼーっとながめているか
だな

 

 

 

 

・・・・

 

 

 

 

・・