『妙な懐かしさ』No.3428

あのあたりで届けたいのだが
届かない
かけめぐるさまざまな懐かしさとかなしみが


いつか消えるもの
とつぜん消えるもの
ふかくふかくもぐる


よれよれの服でいい 傷だらけのくるまでいい
よぼよぼのからだで あぶなっかしくていい
このあたりには てんでだめなぼくしかいない


ぼくのなかの他者
ぼくのそとの他者


出会う
もうひとりの
25歳のぼくと


あなたは外にいたり内にいたり
心ゆくままに気まぐれにあそんでいる
じゅんすいでよちよちと あぶなかっしくてはかない
ふれたいのだがふれられないあなた
とおいとおいところにいるあなた


出会う
もうひとりの
100歳のぼくと


ぼくのなかのあなたはいつか消え去って
いなくなる


いつか消えるもの
とつぜん消えるもの
いっしゅん妙に懐かしく