『得体のしれない自然』 * No.3348

ただ何気なく
風景や気象や
起こってくる事態に
人々や猫の振る舞いに触発されながら
いややなあ、こまった、へえ、たいへんや
等とヒトは喋り合っている
自分の身に振りかかるまでは



「世の中、がらがらっとかき回してポンっとゼロにしてしまったらええんや」
遠い日の友の言葉がよみがえる
地震が来ないかな、大きい台風が来ないかな」
憂鬱で嫌な一日をガラガラポンしたい小学生のように



地異があり天変があり、また地異が



かたや
崩れて剥き出しの山肌、土砂に埋もれた家や車、人



手を伸ばして
 だれか助けて! 助けて!
 だれかー


自分なんて 自己なんて
主体なんて 
そんなに強く持とうとする必要なんてほとんどない




得体のしれない自然が列島を覆い出した