『ヤマアラシのジレンマ』 * No.3258

たあいなく
おだやかな朝の食卓
まるでなにもなかったかのように


ガランッ
何もしていないのに大きなトレイが上から落ちてきて
ガラス食器がひとつ割れた
予兆
こんなとききっと良くないことが起こる!
ぼくには当たる
こんなことが、これまで何回かあった
良くないこと
それは何だろう・・・


たのしく乗っていた車中
ちょっと早くいけるかもしれない
新しいこれまでと違うところを通っている
猛スピードも出た
ところがその新しい道を出たとき
反対側の道に行ってしまった
前に通ったときと同じようなよく似た光景だった
ところが
違う、迷う、迷った、戸惑った
冷や汗がたらたら出る


ああ、間に合わない
これから大事なだいじな会で
一年間の会計報告をしなければならないのに
のに、のに、のに、のに、・・


案の定、取り返しがつかないことが
起こってしまった!!
昨夜の
これまでの嫌だったこと、もう耐えられなかったことが
フラッシュバック
次から次へと次から次へと次から
吐き気がする
足が、身体中がしびれる
息ができない
涙がとめどなくこぼれおちる
不安、不安、不安、不安ふあん
もうくる車を止めて電車で行きたい、歩いていきたいーーーー!!


気付かなかった ちっとも
この鈍感なぼくは
酒を飲んで ええ加減なことを言って 悦に入ってーーーーー
おろかでどうしようもないこのぼくは


距離をとらなければ
近過ぎたのでこのだらしない針がこのひとに刺さる
ほどよい距離をとらなければ
親しき中にも礼儀あり


安心して
ここちよく
居心地がいいと感じる距離を
なによりもこれを優先して


ヤマアラシのジレンマの教訓を体にたたきこんで
今日は、今年ではじめて、ぼくにとって生きがいの酒を
断った