『詩の塚のまばゆい月』 * No.3183

しんと冴えた
元日の夜の空
ただよう雲の間に浮かぶ
まばゆい月


冷たい風が吹き来る神社内の催事
しびれる足裏
外では燃え盛った焚火の残り火
祈願は何も無し
直会の賑やかさ


時間にくらいつき
世界がかぶさる
遠い遠い 奥の方で
難民の苦しんだ顔
救われたがっている人々の顔が見え隠れ
世界はまだまだ病んでいる


通り過ぎる人
立ち寄る人
親しくなって居付く人
迷宮から脱して進んで行くのみ
ゆっくりと 前へ


ああ、
ここまで生きてきた
今年もいい年になりそうな
予感


まだ発見されていないものが隠されている雲間に
ほんに まばゆい月
詩の塚の