『終秋』 * No.3150

冬支度の寒い風が通っている
物語の初めの枝垂れドーム
しんとした下界の街々と忘海
うっすらと有情の霧雲が流れて


めぐる島人の織り成す表跡
其々か細い声をあげるオブジェ
なごやかなセンスの雑貨
ささやかな夢がちりばめられて


覗く青空の向こうの見えない白い星
神無き時代の魔術
輪廻と再生が彷徨う白色矮星
懐かしい寓話が奥でふるえている


黄金の湯気の中の生業
ひとときのあったかな湯霊
夜に浮かび上がる真っ赤な紅葉とねね
美しく漂う静かな香り