『若い男の背中2』*No.2840

aiueokaki2017-01-04

自然の中に溶け込んだような服を着て
里山を歩いている
都会から遠く離れ
こころの趣くまま
草に声をかけ
木をやさしく抱いてみる
山路の枯れ葉を踏んで
カサッコソッ カサコソ カサッ ・・・♪
音楽を奏でる
時折 小鳥の歌がはいる
木の間から覗く真っ青な空をながめ
幾筋ものか細い光の木漏れ日に感動する


夕暮れには
ふもとの年老いた友人の家に行き
夕食をいただく
ちょいと裏の畑からとってきた
いくつかの野菜を大皿にのせ数種類の野菜サラダをつくり
酢醤油とラー油、オリーブ油、マヨネーズ、ごまで
好みに合わせてつくったドレッシングにつけて
自然の恵みをいただく
それから鹿肉を近所からもらったので白菜やネギ、ゴボウ
豆腐や残っていた豚肉とともに入れ、鍋にして
ゆずとネギとポン酢でタレをつくり
クツクツ炊けるのを見ながら
「まあ、いっぱいやりましょう」
「はい、飲みましょう」
「今夜は友だちがきてくれてとても嬉しいです」
「ぼくもとってもうれしいです」
二人はほんのり赤くなりながら話は弾み
時間はゆるやかに愉しく流れる
「寝ていきますか?汚い布団ですが」
「はい」
「お風呂もどうぞ。寒い所ですから、あったまってください」
「ありがとうございます。お風呂いただきます」


田舎は理想郷かもしれない
気の向くまま過ごし
畑や山、それにご近所からいくらでも恵みがもらえる
ゆず湯につかりながらいろんなことを想ってみた


ほんの少しの稼ぎのお金と
想いと言葉を同じうする友だちや仲間がいれば
ともに愉しく生きていけそうだ


湯気のなかの若い男の素肌の背中はこう語っている
あったかくやさしい背中だ