『11月の美』*No.2777
それはあちこちにある
あの街角を曲がったところに
鎮守の森の檜の苔た幹に
車の行き交う道路片隅の
コンクリートを割って生えた草の
北風に揺れる花に
雨に濡れながら枯れゆく落ち葉に
落ち葉の襞
いろあい
破れた隙間
れきし
あちこちにありながら
見えない
見ることができない
何か
なぜ求めるのか
細胞に受け継がれた
憧れの何か
共にありたい
貧しくありたい
欠けてありたい
分かる人だけに分かってもらえれば
それでいい
所詮0.001%の出会い
その熱い喜び
儚さはない
不在なのだ
微かな音がする
こころのさけび
ひりつくように
いまを生きて呼吸する
ちいさなちいさな吐息が聴こえる
11月
・
・
・
・
・