『11月の美』*No.2777

aiueokaki2016-11-01

それはあちこちにある
あの街角を曲がったところに
鎮守の森の檜の苔た幹に
車の行き交う道路片隅の
コンクリートを割って生えた草の
北風に揺れる花に
雨に濡れながら枯れゆく落ち葉に


     落ち葉の襞
     いろあい
     破れた隙間
     れきし


あちこちにありながら
見えない
見ることができない
何か


なぜ求めるのか
細胞に受け継がれた
憧れの何か


   共にありたい
   貧しくありたい
   欠けてありたい
   分かる人だけに分かってもらえれば
  それでいい
 所詮0.001%の出会い
その熱い喜び


   儚さはない
   不在なのだ
  微かな音がする
 こころのさけび
ひりつくように
いまを生きて呼吸する
 ちいさなちいさな吐息が聴こえる
  11月