『どんよりした新しい風』*No.2177

 
閉じられた窓がギリギリと開いて
ほんの少し新しい風が入ってきた

内は未だどんよりとよどんだまま
黴も生え、ゆがんだ流れがあるので流されてしまいそう


あれかこれか
これかあれか
あれでもないこれでもない
けっきょくかれがなってだんだんおそろしくなってきたんだよ
バカなあたしは気づき始めたんだよ
このままいくと
とんでもないみちにふみこんでしまうってことを
新しい風が入ってもそんなにさわやかにならず
ぎゃくにちのにおいがまじりこんでいるってことを
うすうす気づき始めたんだよ
それだけで儲けものさ


だったら
負わなければならないんだよあたしやあんたが
自己責任でない責任を
孤独さがしってひでぇものよ 
こうを引き受けて實存は語れるものなの
欲を抑えて豊かさは得られるものなの 
豊かさって いま誰もが幸せであることなんだよ
えっ、それってほんとう


無縁の世の中で高齢者と単身者ばかりがうようよ増えて
消された気配の中で
所在不明の自死孤独死、そして地方消滅
あたしの体にも原因不明のけいれんが起こる
少しずつ良くなってきたか悪くなってきたか
まだどんよりと曇ったままだ


ぼろぼろな体はもう歴史的な限界がきている
小さな物語同士のせめぎ合いのなかにひょっこり
大きな物語が稚拙ながら台頭して
いさぎよく決断して排他性を持ったってどうにもならないのに
相容れないものの隠蔽排斥 幼児の如く駄々をこねて
押し通そうとする恐さを秘めた 低下劣化するくに
誰にも知られず隅っこにころがっている絶望感
の共有 ・・・伝染するんですよね
いったいだれがこんなくににした


ひとは生きて死んで 死んで生きて
予測されない危機のなかで
じんを忘却する
のを喰い止め
飼い馴らされた温室から一歩抜け出して
強者回帰に抗い せんそうおたくのごりごり妄者Aにノンを唱え
ちょっと相容れないものに近づいてみませんか
生き恥をさらしながら
地という球の上で蒼いうみを想って
いけないいけないいけない
このまま進んではいけない
と不格好に語り続けることですね
そしてたまには みんなと歩いて