『どんよりした新しい風』*No.2177
閉じられた窓がギリギリと開いて
ほんの少し新しい風が入ってきた
が
内は未だどんよりとよどんだまま
黴も生え、ゆがんだ流れがあるので流されてしまいそう
*
あれかこれか
これかあれか
あれでもないこれでもない
けっきょくかれがなってだんだんおそろしくなってきたんだよ
バカなあたしは気づき始めたんだよ
このままいくと
とんでもないみちにふみこんでしまうってことを
新しい風が入ってもそんなにさわやかにならず
ぎゃくにちのにおいがまじりこんでいるってことを
うすうす気づき始めたんだよ
それだけで儲けものさ
*
だったら
負わなければならないんだよあたしやあんたが
自己責任でない責任を
孤独さがしってひでぇものよ
こうを引き受けて實存は語れるものなの
欲を抑えて豊かさは得られるものなの
豊かさって いま誰もが幸せであることなんだよ
えっ、それってほんとう
*
無縁の世の中で高齢者と単身者ばかりがうようよ増えて
消された気配の中で
所在不明の自死と孤独死、そして地方消滅
あたしの体にも原因不明のけいれんが起こる
少しずつ良くなってきたか悪くなってきたか
まだどんよりと曇ったままだ
*
ぼろぼろな体はもう歴史的な限界がきている
小さな物語同士のせめぎ合いのなかにひょっこり
大きな物語が稚拙ながら台頭して
いさぎよく決断して排他性を持ったってどうにもならないのに
相容れないものの隠蔽排斥 幼児の如く駄々をこねて
押し通そうとする恐さを秘めた 低下劣化するくに
誰にも知られず隅っこにころがっている絶望感
の共有 ・・・伝染するんですよね
いったいだれがこんなくににした
*
ひとは生きて死んで 死んで生きて
予測されない危機のなかで
じんを忘却する
のを喰い止め
飼い馴らされた温室から一歩抜け出して
強者回帰に抗い せんそうおたくのごりごり妄者Aにノンを唱え
ちょっと相容れないものに近づいてみませんか
生き恥をさらしながら
地という球の上で蒼いうみを想って
いけないいけないいけない
このまま進んではいけない
と不格好に語り続けることですね
そしてたまには みんなと歩いて
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