『10月はタソガレのクニ』言葉の展覧会1940

10月になればぼくたちは幸せになれるのだろうか
と始まる歌を、若い頃に何度も聴いていた
ぼくはあの時のレコードを捜している
あの日の幸せってどこか夢と結びついていた
叶えられなかった夢
途方もなく 裏切られ続けた夢
ちっぽけな夢から大きな夢まで
消えていった夢の数々
歌はもう無い
それでも捜し、彷徨いて
タレゾカレハ神無月
黄色くお辞儀をする稲穂
おもいおもいの黄昏色に色づいて
桜の葉が舞い落ちる
タソカレハ
揺れるススキの影
うつる石の上で
微かに歌が流れている
空はすっかり
夕焼け