『鍋の中』言葉の展覧会1532

 ある研修会の後、5人で鍋をつつきながら談話した
  会をとりまとめていた年配の人は言う
半世紀前とくらべると、暮らしは本当によくなりましたよ
  アーティスト風の若者は異をとなえる
でも、息苦しい
心のはばと、心の拠り所が狭められていて生きにくいです
  文学者風の人が答える
気分だけが悲観と楽観の間で引き裂かれています
越えようのない断絶です 例えば、為政者と庶民
亡命者と死者の声に耳を傾けなければなりません
  活動家風の人が言う
抜け出せばいいんだ。こんな閉鎖的な国やシステムから
  小市民の私は頷くばかり
鍋の中はまたたくまに無くなっていく





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