海風がやってくるさわやかな春
ひとつの木に
可憐な白い花がたくさん咲いた
海風もうだる暑い夏
やがて花は清純なあおい実に
秋を経て冬に
いつしか実は黄橙色に
オレンジ色の
ひとつぶが
もうひとつぶとかさなり
無数のひとつぶが
種を守りながら
美を構成している
宇宙の中の
ひとつの絵
この冬のデザート
遠い大陸の中国やインドに想いを馳せ
みかんを食べる
小さな幸せ
果汁をつつんだ無数の房がつぶれる
甘酸っぱさが口のなかの宇宙にひろがる
みかんと
その間の生を生み出したものと
ぼくとの
つながり
*